『西瓜のつるであそぼ?』

 ぐずるモフモフ

 窓ガラス越しの何か

 スイカ


 この3つを題材にしたもの

――――――――――――――――


 じいちゃんが白い毛並みの小さな子猫を拾ってきた。


 私の家族は猫を飼った事なんて無い。

 子猫はじいちゃんの手の上で丸まって、ぷるぷると震えていた。じいちゃんが撫でても、ずっと震えたままらしい。

 こういう時、どうしたら良いのか分からない。じいちゃんに聞いても「知らないから持ってきた」と言われた。お母さんなら何か知っているかも。


「おかーさーん、じーちゃんがネコ拾ってきたー!」

「えーネコー? どーすんのよ持ってきてー!」

「知らないよー。」


 庭先から家の中にいるお母さんに伝えたけれど、求めていた答えじゃなかった。

 説明してない私が悪いよね、反省。


 お母さんが昼食の準備をしている台所まで行って聞いてみる。


「ねぇ、お母さん。見て! カワイイよ?」

「あれま。ほんっと、かわいいわねぇ。」

「……飼っていい?」

「それとこれとは別よ、捨ててきな。」

「……。」


 撃沈である。

 可愛いのになぁ、とボヤきつつ人差し指でゆっくりと撫でると、小さく「みゃぁ」と鳴いた。


 可愛い。でも……ずっと震えてる。

 お腹減ってるの、寒いの、怖がってるの、と色々してみたが子猫は震えたままだった。

 何をすれば良いの? どうすれば、この子を――


 とても辛かった。助けてあげたいのに何もできなくて。


「ただいまー。」

「お、おとーさーん!」

「ど、どうした?」

「ネコー!」


 ……うん、今考えても意味不明だよね。ごめんなさい、お父さん。


――・――・――・――・――


 結果的には、ペットショップで診察してくれる獣医さんを紹介してもらえた。家から2時間ほどの距離にいるらしく、的確な指示を貰い、一命を取り留めた。

 結構、危なかったらしい。お父さんも手伝ってくれたので、うまくできたと思う。


――・――・――・――・――



 窓ガラス越しに見る『シロ』は、すやすやと眠っている。ペットショップに入ると、入店の音で起きたのか、シロがこちらを見た。少し……眠そう?


「スイカ持ってきたんだけど、食べるかな?」

「みゃぁ。」

「うりうりぃ。」

「みゃぅ……。」


 ごろごろと鳴らしちゃって~このこの、と撫で回していると店員さんが声をかけてくる。タイミングをずらしてくれたらしい。いつもすいません。


「いらっしゃい、シロはエサも食べるし運動もしてる、いつも通りだよ。」

「そうですか、シロ良かったねーよしよし。」


 私の手から離れようとしないシロを、目に……焼き付ける。


 ちょっとだけ、我慢してね?  


「……。」 




























「お別れは、もう良いのかい?」


 私はだまってうなづいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る