請われれば厭わない。あなたは請われただけ…神の教えに従って、与えただけ

  • ★★★ Excellent!!!

孤児院の前にひとり佇んでいた美貌の少年テル。人の心までも見通す『神眼』を持っていた彼はある宗教団体に保護されることに。総主教に気に入られて育てられ、右腕としても彼女を支え続ける。しかしその立場と美しさに周囲からは愛憎の目を向けられ、仮初めの笑顔を浮かべながら他人には興味を持てず自身の心を閉ざしていく。

『蒼き月夜に来たる』のスピンオフ作品です。登場人物の一人テル・ルーメン主教の生い立ちの物語。スピンオフとはいえこのお話で独立しているので、先に読んでも問題ないと思います。
謎に満ちているルーメン主教が過酷な人生を送ってきたことは本編ではあまり語られていませんが、先に知っていれば様々な読み方ができて面白いはず。私は先に本編を読んだので、スピンオフを知った上で本編をもう一度読み返さなきゃ!という衝動に駆られています。

初めてできた友人?フォルティスがまっすぐに向ける親愛や、気付かれない程の、だけど父親のような深い愛情をもって見守るフェエル。ルーメンを心から愛し支え続けてくれた人たちと関わり、少しずつ救われていくことが嬉しくなります。
そして様々な愛憎が絡み起きてしまった壮絶な事件。このあたりは本当に号泣しました。何回読んでも泣けてきます。どうしたらいいの神様たすけて……

ここまで気持ちが揺すぶられた作品を読んだのは久しぶりでした。二次創作に興味を持ったことはありませんが、「こういう気持ちがきっかけで創りたくなるのかも」と初めて思ったかもしれない。
たくさんの方に読んでほしい作品です。ぜひ!!

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