生還

１９４５年の８月１４日、神風特別攻撃部隊は沖縄に向けて知覧基地から出撃をする事が決まり、一番若い隊員、鏑木和久は出撃前夜、死地に赴く最後の筆おろしに女郎屋へと足を運んだのだが、出てきたのは幼馴染の信江。
「俺は死ぬのだが、仮に死んだとしても、君の心の中で生き続けるからな」
そう言い残して、旧式と化した三菱零式艦上戦闘機２１型に乗り、和久は生と死が交差する沖縄上空、出撃したらほぼ確実に死ぬ場所へと向かっていった。
敵からの追撃を受けて逃げ纏っているその時に、それは起きた。