私が嫌いなのは『誰』なのだろうか?

キムチ女と寿司女。韓国女性と日本女性のことらしいのですが……

彼氏と喧嘩別れしたことがきっかけかどうなのか、体からキムチ臭が漂うようになった熾子と、流行しているからという理由でエビを頭にのっけている女子高生・司(フルネームは寿司ことぶきつかさ)を中心に、友達は厚焼き卵を乗せた玉子と白身魚を乗せた代美に、カタコトの日本語をわざと使う中国人留学生が登場する。これに濃いアニメおたく二人と怪しい組織が加わって……

なぜ、頭に寿司ネタ……という、細かいことは気にしないとして。
自分だったら、サーモンかな……、いや、イクラか……、マグロはハードルが高いんだろうか……と、思うけれど。

差別や偏見、思い込みや無知が交錯するのだが、読みやすい文章でテンポよく、軽快な会話を中心に展開していく作品。ちょっと重くて難しい、ややこしい話は読みたくないなー、大丈夫かなー…と、躊躇してしまうのだが、読みだすと、するすると頭に入っていき、気づけば読了しているといった印象です。

果たして、国が嫌いなのか、政府が嫌いなのか、国民が、民族が、性別、年代……、いやもう、個人の問題でしょ……と思いながらのもやもやを抱えつつ、うやむやにせずに真剣に向き合おうとするが……、憑りつかれたような混乱に巻き込まれて……、と濃い内容をスピード感いっぱいで突き進むストーリー。

嫌う理由は多々あれど。仲良くする理由を言葉にするのは難しいのかもしれませんね。しかし、友情は芽生えるものです。気づけば仲良し。

ラスト、見事な伏線回収も面白い。
寿司が食べたくなる作品(キムチも食べたいけど)。あと、お酒には注意。




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