すれちがいラブコメ×聖女×ミステリ??

冒頭大事件が起こります。
なんとっ、ヒロインのっ、聖女エリザがっ、撲殺されそうになるんですよ!!!

神聖なお力のおかげで(どんなお力かはタイトルにありますね)、一命は取り留めたものの気を失うエリザ。目覚めると、そこには普段無表情で何を考えているのか読み取りづらい婚約者のアレクが、自分を心配そうに見下ろしているではありませんか。

そう、あの鉄仮面が人間らしい心理をわずかですが見せているのです。
これは! 
エリザは閃いてしまいました。ちょっとした乙女のイタズラ心です。

だから記憶喪失になったふりをしてみたのですが……。

妄想しますが、エリザ的には、ここでアレクが「たとえこれまでも記憶がなくなっていても、また君に惚れてもらえるよう自分はがんばる」くらいのね、何か気概っつぅか、強い愛みたいなのが欲しかったんじゃないかしら、って。そういう台詞どっかで読んだことあるの、あたし。

何しろ、このアレクとエリザの関係。婚約者といってもそこは貴族のお二人です。親同士が決めた相手といやまあそこまでといいますか。
幼馴染で昔から仲良くはあったけれど、その交流に強い愛情を感じることは少なかったわけです。嫌われてはないと思うけど、恋愛と言うより友愛みたいな。

だからエリザは確かめたかったんだよな。うん、わかるぜ。
でもここでアレクの返答が予想外だったわけです。

記憶喪失のふりをして「あのー、私たちの関係って?」と聞いてみたエリザに、アレクは「だたの友人」ってな感じで。そこはっ、「僕は婚約者だ」と答えるべきでしょっっ!!

……という感じで、はじまるすれ違い西洋風ファンタジーラブコメ。

そうです、すれ違いなのです。このアレクは内面かなりの激情家でエリザを強く愛しているのです(※作品のタグ見て!)
しかーしっ、表情筋が働かないため、ちっとも表面にはこの愛、出てこない。というか肝心のエリザに伝わらないっ。

という表情筋の怠惰とアレクの間違った返答をかますヘタレ要素、さらにはお互いが恋愛において相手の気持ちを重視するがあまり、とことんこじれるという展開に。

そこへ邪魔でしかない三バカ貴族まで集合し、撲殺未遂の犯人探しもはじまって……。

本作、コメディです。
まさかの真相にも笑えてしまう、素敵な作品。

そろそろ完結間近のご様子。サクサク読めるテンポの良い文体なので、長編でもあっという間に読み進められますよ。年末年始の楽しみにぜひ!

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