お前らもう、早くくっついちゃえよ(笑)!
- ★★★ Excellent!!!
幼馴染が転じて婚約者同士になった男爵家の令嬢エリザと、伯爵家のアレクサンドル。
エリザはアレクのことが大好きで、折々に手紙を書き、贈り物をしたり。
アレクも返事を書いたり、贈られた品を身に着けたりするのですが……。
いかんせん、アレクは鉄壁の無表情。
手紙も実は別の誰かが書いているんじゃないか疑惑があったり、贈られた品だって喜んで身に着けている……のかどうかわかんない。無表情だから。
結婚間近なある日。
エリザは聖女としての務め(そうなんです。エリザは聖女で市中を結構気軽に見回って加護を授けています)を果たしていた時、暴徒に襲われて頭を激しく殴打されるエリザ。
目が覚めたとき。……まあ、いろいろあって、記憶喪失のふりをしたわけです。
「え。あなた誰ですか」と。
それを信じたアレク。
「幼馴染です」
いや、婚約者でしょう! そこは君の婚約者だと言うべきところでしょう!
読みながら驚愕したのですが、すぐに私はひらめきました。
「はっはーん。アレクめ。実はエリザ以外に女がいるな……⁉ これ幸いにエリザを切り捨ててその胸と尻がでかい女(青嵐の架空人物。本文には登場していません)を婚約者にするつもりだな!」
なんて悪い男だ、とひとり憤っていたら……。
違っていました。
大間違いでした。
アレク、エリザ大好き男でした。
ただ、表情に出ないだけでした。
あの手紙も直筆でした。
すまん。まじ、すまん……。
詫びて済む問題かどうかわからんが、とりあえずアレク、すまん。私がラノベを読みすぎたせいで……。お前はてっきり最後にざまぁされる男だと思っていたよ……。
恋愛物語に「すれ違い」は重要な要素です。
これがあるから話が盛り上がるのです。
ですが……この「すれ違い」でこんなに爆笑できるのか、と。
読者として、第三者として両方の視点がわかるからこそ、大笑いできるこの仕組み。
本作、本当に面白いです。
カクヨムコン中に完結予定とタイトルにもあります。
この恋の行方をどうぞみなさん。見守っていきましょう(笑)!