10. 三日目七谷水難事件②

「なんでもないと言ってるだろ? ホズミが前髪をかきあげる仕草に俺が痺れてしまったとか、そういう時、俺はエクスタシーを感じて声を出すのが我慢できなくなるとか、そんなことは全然ない。だから、なんでもないと言っているんだ」


 後藤田は机の上に”の”の字を何度も書いてそう答えた。


「ごとっちゃん、ホモなんだ!」


 悲鳴にも似た七谷の叫びが、教室に満ちる朝の柔らかな光を切り裂いた。途端、教室中がざわっとなった。女子など「キャー!」って叫んじゃったりしてる。しかも、「ホズミってホモなんだって! ドSでホモ! もう、いますぐ死ねばいいのに!」とか言っちゃってる子もいたりした。


 なんでだ! どうして俺が非難されてんだ! はっ。まさか、「ごとっちゃん」と「オトっちゃん」を聞き間違えて? もしそうなら。……この誤解、お前のせいじゃねぇか、七谷ぃーっ!


「違う! 俺はホモじゃない! 俺はただ、ホズミが好きなだけなんだ!」


 後藤田が真っ赤になって抗議した。


「ちょっと待てぇっ、後藤田ぁっ!」


 俺は机をばんと叩いた。それ、疑惑が確信に変わるだろ! とは思うものの、やっぱり声は出なかった。クララのいくじなしっ! ハイジの気持ちが良く理解出来てきた。


「それのどこがホモじゃないの、ごとっちゃんっ!?」と金切り声で叫ぶ七谷は涙目になっていた。


「違う! 全然違う! ホズミって、かっこいいと思うだろ? かっこいいヤツを眺めてため息出るとか、普通じゃないか! 女子だって、そういうことってあるんじゃないか?」


「いや、あるよ! 確かにあるけど! でも、さすがにあんな変な声は出ないよ!」


 正論だった。見かけによらず、七谷もなかなか鋭いところをついてくる。て、んなことないか。誰でも思うわ、そんなこと。後藤田の旗色は悪かった。当然だ。圧倒的に不利だから。

 だが、後藤田は、この後、とんでもない言葉でこの劣勢を覆す。大きな犠牲を払って。


「くっ。そうかも知れん。しかし、そうでもないとも言えるはずだ。かっこいいとかかわいいとか、そういう人間を見た時の反応など人それぞれなんだから。俺の吐息は確かに相当個性的であると認めよう。だが、それがホモだという理由にはならないっ!」

「でも、限りなくホモに近いという推測は出来るよ? しかも、結構信憑性高いと思う」

「ふはは。甘いぞ、七谷。俺には、ホモではないという証拠がある。揺るぎない事実がな」


 後藤田がにやりと笑う。俺にはすでに凄い不気味にしか映らないんだが。俺がこいつに「爽やかだなー」なんて思うことはもう二度とないだろう。


「証拠って?」


 七谷がごくりと喉を鳴らした。七谷も出来ればホモではないと証明して欲しいんだろう。だって、俺もそうだから。

 実際、テレビとかだとおねぇキャラとかニューハーフだとか珍しくないけどさ。こんな身近にいられると、かなり恐ろしいもんがあるんだよぉ!

 いや、ホモが悪いとは言わないよ? 同性婚が法的に認められてるとこだってあるんだし。それも一つの愛の形だと、理性では分かるけど。だから俺とは関係ない人同士なら、そんなのどうだって良かったりする。

 でも、その愛の形、俺には受け容れられないから。女の子ともまともに付き合ったことないのに、何が悲しくて男に走らなきゃなんないの? 俺はまだ、女の子とのお付き合いに絶望してないんだよぉ!


 でも、多分、後藤田だって絶望したってことはないだろう。じゃあなに? 真性のホモってこと? もしそうなら、めちゃくちゃタチ悪いじゃないか。高校入学三日目にして、もう転校したくなったんだけど。


 かくして、後藤田は証拠を提示した。胸のポケットから出した一枚のカードを掲げる後藤田晃司。それは。


「なにこれ? 写真?」


 七谷がカードを覗きこんで小首を傾げた。俺も気付けば席を立ち、そのカードに引き寄せられていた。


「そう。これは、俺の妹の写真だ」


 後藤田の声は更に低く凄みのあるものになっていた。説得するには大きな武器となりそうな、力強くてはっきりと聞き取れる声だ。


「……なんで、これが証拠なの?」


 聞いた後、七谷は「嫌な予感しかしないけど」と呟いた。俺も全く同感だった。しかして、その予感は的中した。俺の悪い予感、もう予知能力レベルだ。


「俺は、妹を愛している。しかも、家族としてでは無く、異性として愛している。妹の性別は女だろう? だから、俺はホモじゃない」


 後藤田の澄み渡るようないい声が、教室中の隅々にまで行き届いた。教室の四隅に固まって話していたヤツらが、白い目を無言でこちらに向けたから、俺はそう判断した。


「ふぅん。それなら確かにホモではないが、近親者に性的欲求を抱く真性の変態ということにはなったな」

「がはぁっ!」


 ずっと本を読んでいた黒野の言葉が、後藤田の脳天に突き刺さった。


「はわぁ……。リアル、近親相姦……」


 知らないうちに三枚のタオルを体に巻き付けミイラのようになった無敵さんが漏らした呟きを、俺は聞き逃さなかった。そして、みんなも聞き逃していなかった。全員の視線が、一斉に無敵さんを向いたのだから。

 何もじもじしてやがるんだ、無敵さん。お前が一番怖いんだよ。変態さから言ってもな。


 しかし、なんなんだ、こいつら?

 俺とした事が、なんにも喋らせてもらえなかったぞ!


「……朝っぱらから、なんて話をしているんだ、あいつら……?」


 性質どころか、まだ名前も把握していない男子たちからの反応は冷ややかだった。男子であればこの手の下ネタ耐性はわりと強いと思っていたのに。まぁ、さすがにガチホモやリアル近親相姦には誰でも引くと思うけど。


 てか、ただ「愛している」って言っただけなのに近親相姦確定してるってどういうこと? 多分無敵さんの呟きのせいだけど。


「信じらんない。後藤田だっけ? も、そうだけど。とにかくホズミは生きているのがもう犯罪だよね。わたし、このクラスで純潔を保てるのか自信なくなってきた」


 とある女子、談。さて、では心の中で突っ込みを入れるとするか。それが俺の趣味だし。……趣味のセンス悪いな、我ながら。


 だいたい、純潔を保てないクラスってどんなんだよ? そんなクラスがあったら新聞に載るぞ。あと、お前ごときでは『純潔』を着こなせない。あれは皐月様でも無理があったくらいだからな。なんてこと言ってやっても理解出来る女子なんていないだろうけど。いたらちょっと嬉しいけど。


 つーか、女子たちからの非難の矛先は俺限定かよ。女って、感情が理屈を超越するとこあるからかな? 理屈抜きで、とにかく俺が全て悪いことにしたいんだろ。その方が安心出来るということか。それって思考停止っていうか放棄してるよね? ヤバい。俺、このクラスで安定のスケープゴート確定っぽい。で、そうなる原因って全部無敵さんにあるわけだが。


 あいつの名前、「元凶さん」のが相応しいなと思いました。


「はいはいはいーい。おしゃべりは止めー。席についてー。ホームルーム始めるわよー」


 混沌とした雰囲気の中、教室に元気よく入ってきたのは留守先生だった。それを合図に、みんなが粛々と自分の席につく。

 後藤田は席に座るなり頭を抱え、七谷はその後藤田に「たはは」と苦笑いを浮かべて座る。無敵さんはミイラのまま、座席に画鋲でもあるかのようにびくびくと座った。黒野は全く動いていない。俺はまたしてもクラスでの立場を悪くしたという思いから、ちょっと乱暴に腰を下ろした。


「あはー。今朝はみんな、活発ねー。そうそう。朝の教室って、やっぱりこれくらい騒がしくなくっちゃね」


 教卓に出席簿をぽんと置いた留守先生はにっこにっこにーしていた。先生には、このクラスの雰囲気が、明るく楽しいものに見えていたようだった。

 もの凄い節穴な目を持つ先生だ。この分では、無敵さんシフトに選抜されたメンバーが友達思いだということも、相当に怪しんでかからねば。人は自分の目で見極める。俺は固く心に誓った。


「さて。まずは朝の挨拶だけど。日直のこととかはまだ決めてないから、差し当たってはクラス委員長さんがお願いね」


 は。そういえばそうだ。先生が教室に入ってきたら、普通誰かが号令をかけるもんだよな。なにかが足りないって違和感はこのせいか。これが無いとリズム狂うんだな、九年間も学生やってると。

 とか思っている間に「きりーつ」って号令がかかるかと思ったが、教室はしーんと静まり返ったままだった。あれ? どうした、委員長?


「おい、黒野。早く号令かけろよ」


 まだなりたてでうっかり忘れてしまっているんだろう。そう思い、俺は右斜め前に座る黒野に声をかけた。のだが。


「馬鹿なことを。留守先生の話を聞いていなかったのか、貴様? 号令は委員長がかけるのだ」


 黒野は前を向いたままそう言った。


「いや、聞いてたからお前に言ってんだろうが」


 むっときたのでちょっときつめに反論した。のだが。


「なぜ私が委員長だと決めつける?」

「なぜって……」


 それは言えない。だって怒らせそうだから。怒るとどんな罵詈雑言が吐き出されるのか分からないのが怖い。黒野怖い。その直後、留守先生から衝撃の事実が告げられた。


「あら? 昨日、委員長はホズミくんに決まったのよ。先生、言ってなかったかしら?」

「ほら、黒野。先生もああ言ってるし、早く号令かけてくれ」


 だが、俺はその言葉をスルーした。それはもう、ファンタジスタと呼ばれても遜色ないほどの鮮やかさで。さぁ、蹴るんだ、黒野! キーパーとは一対一! 得意のループシュートを見せてくれ!


「寝ているなら目を閉じろ、ホズミ。クラス委員長は貴様だ。号令をかけるのは、貴様の仕事だと留守先生は言っている」

「なに? なに言ってんの、お前?」


 黒野のシュートは自陣のゴールに突き刺さった。オウンゴールというやつだ。俺には黒野のシュートがドライブシュートさながら、とんでもない角度からぐぃんと曲がってゴールネット(俺のいたいけな心)を暴虐に揺らしたように見えていた。これは明らかに故意によるものだ。なので、俺は黒野を批難しなければならなかった。


「俺は寝てもいないし委員長になった覚えもねぇぞ。俺は全く正常だ」

「異常者というものは、みなそう言うものなのだ。心の目を見開き、現実を直視しろ。だいたい、そこまで拒否反応を示すほどのことでもないはずだが」

「……現実が受け容れられないみたいね、ホズミくんは。でもね。安心していいの。あなたをサポートする副委員長は、あなたの隣にいる人だから」


 俺と黒野のやりとりが見ていられなくなったのか、留守先生が新事実を提示した。


「俺の隣? 隣って、今、タオルぐるぐる巻いてる変な人しかいないんですけど」

「そう、副委員長は無敵さん。前期のクラス委員長は、二人で仲良く頑張ってね」


「バカなっ……!」


 こんなセリフ、本気で使う機会があるとは思わなかった。周りの景色がぐにゃりと歪んだ。三半規管が異常を示した。座っているというのに平衡感覚を失った俺は、椅子ごと真横に倒れ込んだ。


「あ。危ないです、ホズミくん」


 席と席の間に、人が倒れられるような余地は無い。自然、俺は無敵さんの肩に寄りかかるようなかっこうとなった。無敵さんは俺を抱き締め支えてくれた。ぎゅむ、と。これ、もしかしておっぱいの感触か? 昨日見た、あの、美しいおっぱいの!


「はひー。ホズミくん、これは、あの、あれです。『委員長は休んでるヤツに押しつけろ理論』です。あたしたち、どうやらそれにはまったみたい、ですよ」


 ほっぺたでぽよよんとした感触を確かめる俺を、無敵さんの理論が打ちのめす。


 なんてぽよよんとしてやがる!

 ……間違えた。

 なんて幼稚なことしてやがる!


 くそっ。高校生にもなって、まさかこんなことが罷り通るなんて。どうやって決めたのか知らないが、留守先生までがこんなことを許してしまうとは思わなかった。この先生、いい先生じゃないのかよ?

 正直、クラス委員長なんて今までにも何回かやっている。去年だってやっている。だから、やること自体、そんなに抵抗は無いんだ。



『大丈夫だよ、オトなら。みんな、オトの言うことには従うよ?』


「莇(あざみ)……飛鳥(あすか)……」


 脳内でフラッシュバックする莇飛鳥の笑顔。この時、俺はなんて答えたんだろう? 「当然だ」か? 「知ってるさ。俺なら余裕に決まってんだろ」か?


 でも。

 ただ、今は嫌なんだ。ただ、俺は嫌なんだ。

 誰かに頼られたりすることが。

 誰かに必要とされたりすることが。

 普段はいてもいなくてもどうってことないのがクラス委員長だけど。もし、何かがあった時。意外と難しい舵取りをしなくてはならなくなることもある。



『分かった。クラス委員長はホズミだ。この件は、ホズミに裁いてもらおうぜ』


「勝手なこと、言いやがってっ……!」


 蘇る記憶が真っ赤に染まる。これは怒りのイメージ、か。

 その時。


「ききき、きりー、っつぅっ」


 目をぎゅむ、と閉じた無敵さんが、掛け声とともに立ちあがった。


「なにっ?」


 無敵さんが立ちあがった反動で、倒れかけていた俺は、がたたんと椅子を鳴らして元に戻った。


「む、無敵さん?」


 馬鹿みたいに口を開けて見上げれば、目を固く閉じ、歯を食いしばり、拳を握りしめて直立している無敵さんがいた。

 突然、なんの前触れもなくかけられた号令に従う者はいなかった。静まり返った教室では、ただ一人、無敵さんだけが立っていた。


「ふむ。面白い。今の無敵さんは、まるで“孤独”というものを分かりやすく描いた絵画のようだ」


 ようやく振り返った黒野が、立ち尽くす無敵さんを笑いもせずにそう評した。


「黒野……」


 うまいことを言いやがる。その分、俺の心には響いたな。いつも思うんだけどさ。このずき、って痛みは、どこでどうやって感じているんだろう。

 今の無敵さんは、“孤独”を具現化した存在、か。でも、俺には。“孤高”って言葉の方が、もっと相応しく思えるぜ!


「き、きりーつっ。き、起立です」


 目を閉じてはいても、音とか雰囲気で分かるんだろう。誰も立ちあがっていないと判断した無敵さんは、再び震える声で号令をかけた。


 だが、やはり誰も立ちあがってはくれなかった。


 こういうのは、“呼吸”ってのがあるからな。この号令、たぶん誰もが「命令」だって、昔から、ずっと感じてたはずなんだ。人に命令されるのが好きなやつなんて滅多にいない。もしいたら高確率で変態だ。とはいえこんな号令一つのことで、そんなに反発するやつもまずいない。こんなのただの儀式なのだから。

 だが、今は。今の、このタイミングで、号令をかけたのが無敵さんだってのがいかにもまずい。

 初日の事件で、みんなはすでに無敵さんを“保護すべき人間”だと認識している。自分より弱く、劣っていると見下してもいるだろう。そんなやつに呼吸をはかる間も与えられずに命令されて、誰が素直に動くんだ。


「す、すいません。ごめんなさいっ。あ、あたしなんかの号令で、立ちたくないのは分かりますっ。で、でも、これはクラス委員長の仕事で、でも、今は、その委員長さんが困ってて。突然言われたから、あたしと同じでびっくりしててっ」


 静かな教室に、無敵さんのくぐもった声だけが広がった。こいつの声は、とても不思議だ。くぐもっているはずなのに、やけに通る。普通に話しているともっと良く通ってしまう。

 俺は、こういう話し方をする人間を見たことがある。

 家族で良く見に行った、劇場のミュージカル。

 無敵さんの声は、そこで歌や踊りや演技を披露する舞台俳優たちに良く似ているんだ!


「…………」


 留守先生?

 ふと気になって見てみれば、留守先生もまるで動く気配がない。無敵さんを見つめる表情は真剣そのもので、俺にはまるで別人に思えた。


「……なんかさ。痛いね、無敵さん」


 ぼそり、と女子の一人が呟いた。


「だ、だから、副委員長になったあたしがやらなくちゃ、って。やるしかないな、って思って。ごめんなさい。でも、お願いです。みなさん、あたしの号令に、し、従ってっ」


 ああ。まーた泣きだした。なにをそんなに頑張ってやがるんだか。

 無敵さん。お前、そういうことするの嫌いだろ?

 無敵さん。お前、そういうことすると苦しいんだろ?

 それでもそうしてしまうのは、多分俺のせいだよな?


 お前は、困った人を放っておけない性質なんだ。昨日も、にゃんこを助けたし。変なやつだ。おかしいじゃないか、そんなの。

 人に迷惑をかけるのが嫌だから、自己紹介しただけで死にたくなっちまうのがお前だろ?

 人に迷惑をかけたくないなら、人と関わらなければいい。今はネットでなんでも出来る。買い物だってそうだけど、学校すらネットで済ませてしまう時代だぜ?


 なのに、どうしてお前はこの学校に入学した?

 なのに、どうしてネコを助けた?

 そして、どうして俺を部屋に上げた? お茶やお菓子や雑誌にゲーム。誰かが来たら、もてなす準備は万端だったじゃないか、お前の部屋。


 更に、今。そんなにぶるぶると震えているんだ。自分のしていることが怖くて嫌で仕方がないってことだろう?

 なのに、どうしてそこまでして俺なんかを助けようとしているんだ? 俺はお前に優しくなんてしてないぞ。俺は、お前にそんな……、そんなに優しくされる理由はないっ!


「きっ、きちーっちゅっ」


 とうとう無敵さんは噛みだした。舌が回らなくなったらしい。


「き、きらー、ちゅべらっ!」


 今度は本当に舌を噛んだ。「いひゃいー」と叫んで涙を浮かべる無敵さん。

 俺は、こいつのことを見誤っていたのかも知れない。ここまでみんなに無視されているというのに、まだ号令をかけ続けることが出来るとは。


 豆腐メンタル? ああ、確かに最初、そう思った。

 でも、こいつの豆腐。

 胸に当たると、結構ダメージありそうだ!


「はーい。菜々美には、ちゃんと聞こえてるよ、無敵さんっ」


 七谷がぴっと手を挙げて立ちあがった。


「私にも聞こえている」


 黒野が本をぱたんと閉じて席を立つ。


「はっはっは。俺にだって聞こえているぞ、無敵さん」


 後藤田が歯を光らせて親指を立てた。さっきのダメージはもう抜けているらしい。教室の中心から左寄り。無敵さん係が立ちあがった。その中でも一番左、窓際という最高のポジションにいる俺は。


「起立っ!」


 ぐるりと全員の目を見渡し、毅然と号令をかけていた。


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