鉄錆びの女王機兵

作者 荻原 数馬

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★★★ Excellent!!!

SFやファンタジーで難しいのは一から世界観を構築して
それを読む側にスムーズに理解させ、
自然と入り込めるようにすることだと思うのですが
この話は特に難しい用語をつかうでもなく
わかりやすい文章で荒涼とした近未来の情景を描き、主人公たちの行動を描写を追っているうちにどんな世界なのか自然と伝わってきます。

ストーリーも
明日をも知れない絶望的な日常を
男が女を守り抜く、それだけを支えに生き延びようとする心情が丁寧に描かれています。
緊張感はありますが、過剰に刺激的な展開ばかりということはなく
主人公とヒロインの交流が読んでいてほっとさせる安らぎになっています。

この先どんな展開になるのか楽しみです。

★★★ Excellent!!!

こういう義手義足に武器を取り付けて戦うの好きです。そこへ泥臭い戦闘が加われば、もっと大好きです。
荒廃した世界感では道徳心や親切心なんて二の次・三の次となり易いですが、主人公の不器用ながらも真っ直ぐとした人間性がヒロインの心を救い、そして彼女に希望を与えるというシーンを見ると、人間は希望の光さえあれば生きていけるのだなと思えてしまいます。
そして戦場の緊迫した状況描写や主人公の心理描写なども心が躍り、そして銃器で闘う姿に心がスカッと晴れ渡る気分です。
義足や義手で闘うサイボーグ系のSFバトルながらも、泥臭いミリタリー系が見たいという人は是非此方を御読み下さいませ!!

★★★ Excellent!!!

ディアスとカーディルの二人きりの世界は純粋で、それでいて痛みに満ちている。
まるで鬼束ちひろや尾崎豊の痛々しく美しいラブソングのように。
パンドラの箱からあふれ出た絶望に満たされた世界で、最後に残った希望を、お互いに相手の姿に重ねる。
ハードボイルド&スウィート純愛。
絶望に向けて、彼女の装甲弾をぶっ放せ。

★★★ Excellent!!!

初っ端からいきなり繰り広げられる戦闘描写は、眼前にハリウッド映画顔負けの映像を浮かび上がらせてくれます。
そして、主人公たる二人が交わす会話は、あまりにもウイットに溢れていてハリウッド映画のセリフそのもの。

この描写と台詞回しだけとっても、この物語は読まなければ「損をする」と断言できます。
単純に、呼んでいて楽しいのです。

しかしこの物語の本質は、単なるエンタメ戦闘物語ではありません。
生きていくための戦いの中で四肢を失った美少女と、彼女を慕いそして愛する無骨で誠実な青年の、とてもピュアな恋愛物語。
いや、恋愛という言葉を超えた、もっと深い繋がりを描いた物語です。

エンタメ要素をふんだんに散りばめながらも主人公二人の心情を細やかに描き続けるこの物語が、この先二人の生き様をどんな風に私たち読者に見せてくれるのか?

毎日更新を待ち望む気持ちでいっぱいです。

★★★ Excellent!!!

こんなガッチガチハードSFを待ってました!
砂漠にすごむモンスターを退治するハンターたちの武器。それは神経接続によって動く特殊な戦車。砂ぼこりを巻き上げる履帯! モンスターに炸裂する必殺の砲弾! 好きな人間にはたまらない要素が詰め込まれています。
人間ドラマにも抜かりはありません。戦車に接続されるのは、主人公の恋人である女性。四肢を失くし埋めがたい喪失感を抱えた彼女と、それを支える主人公。二人の行く末がとても気になります。
異世界ものもいいけれど、こんな硬派な作品ももっと評価されてほしいですね。

★★★ Excellent!!!

 この作品の真の魅力は一体、どこにあるのか。

 もちろん戦車と同化した少女というキャラクターの造形の斬新さには目を見張るものがあったし、パンク・ロックな世界観にも大いに食指を動かされる。冒頭のバトルシーンから読者を作品の世界へ引き込む掴みの上手さ、回想によって自然と出会いの物語へ立ち返らせる手慣れた展開の技術にも大変感銘を受けた。
 しかし、これらの要素が持つ魅力はカクヨムの他の多くの作品にも当てはまるものだろう。個性的な登場人物、波乱万丈のストーリー、練り込まれた舞台設定と、優れたコンテンツとしての可能性を秘めた作品にはこれまで数多く出会ってきた。

 だからこそ、私は「一本の小説として」、この作品の魅力を一手に支えている文章の美しさを評価したい。

 僭越ながら、一介の文学徒として、名だたる文豪から現代の文壇を彩る新進気鋭の作家に至るまで、プロの書く小説を幾つも読んできた。彼らの作品が心に響くのは物語が持つ魅力を言葉への細やかなこだわりが最大限に引き出しているからではないかと、私は思う。

 この作品には熱い戦闘描写を可能にする滑らかな文章運びがある。キャラクターの個性を引き出すウィットに富んだ台詞回しがある。パンクなバックグラウンドを浮き彫りにする言葉選びがある。

 恥ずかしながら氏の作品を読むのは初めてだったが、一人の創作者としてもマンガにアニメ、映画と映像メディアが隆盛を誇る現代にあって、あえて小説として世界を表現する面白さを改めて教えて貰ったように思う。

 ……勢いのままに断定調で書いてしまいました。上から目線で大変申し訳ありません。このレビューを読んだ一人でも多くの方に、この作品の、ひいては氏の作品の魅力が伝わることを祈ります。
 素敵な読書体験をありがとうございました!〔縁〕