この作品を読まずして、何を読む。 珠玉の音楽家ドラマ。ご堪能あれ!!
- ★★★ Excellent!!!
幼い頃にピアノコンテストで出会った二人。
対照的な生活環境にいる二人だが、その邂逅は二人に楔を打ち込んだ。
東の王子。西の狼。関東と関西に住む二人だが、大人になってから偶然の再会を果たす。
そして「よんよんまる」というユニットを立ち上げるのだが……。
クラシックの知識をスパイスに、天才的な二人の関係が描かれた珠玉の作品。
この作者さまの作品は、常に読者思いだ。
毎話のキレのよさ。無駄がない。大事なところだけを厳選して出すのだ。
その奥にどれだけ多くの言葉があったのか計り知れない。
磨きに磨いて、蛇足など一切なしに見せてくる。
心躍るシーンも、鬱展開も、それを乗り越える過程も、人との繋がりも。
一曲の交響曲を聴くように、抑揚をつけ絡み合いながら流れ、やがて指揮棒が止まる。
喝采があがるまでのほんの一瞬の無音の時。
言葉には出来ない感情が高まった至福の時が、この小説にはある。
この余韻のために物語は紡がれた。この作品を読まずして、何を読む。
珠玉の音楽家ドラマ。ご堪能あれ!!