09 さようなら小学生

あっと言う間に新元号の令和になりました。


がんばって、読み語りに参加していたのですが、「今年から長男が中学へ進学しており、長女ももう五年生では、短い時間の読み語りに参加するのは、どうかと思う」との夫の意見のままに、令和元年(平成三十一)年度の読み語りは、参加希望を出しておりません。


◇◇◇


笑ってくれたあなた。

聴いていないあなた。

先生不在の読み語り。

それでも、きちんと椅子を下げて、まるく並んで座り、私の椅子の他に、読み語りで使う編みぐるみの分も椅子を用意してくれたあなた。

最初は、ぐりとぐらでしたね。

たまごを割る私のリアクションが面白かったのか、どっと笑ってくれました。

皆、たまごを見てお腹が空かなかったかな?

その一年生のころ、娘と同じクラスだった児童に道でお会いしました。

さっと声を掛けてくれて、私は嬉しかったな。

娘の母親だと分かっていて、「僕の名前分かる?」と訊いてくれた児童は、名札をつけないでテストをしてきましたね。

勿論、知っていますよ。

何で分かるのかと訊かれましても、あの時のあの子だからです。


◇◇◇


個人的なことになりますが、私の絵を公募に出す時、子どものTシャツや小物を描いて、『大きくなりました』と表しました。

新国立美術館に展示させていただき、夫はそれになんの関心もないのかと思いましたが、秋田へ引っ越したときに飾ったら、夫は、友人の前で酒の力を借り、「俺は感動したんだ」を三回位は言っていましたね。

私は、そうだったのかと感心しきりでした。


子どものことは、多分あなたのこと以上に気にしているのかも知れません。

でも、あなたへの愛情は、又、違ったものです。


◇◇◇


平成十二年頃、東京から徳島まで病院へ通っていました。

そのときに徳島のデパートで買った黄色い財布が、令和元年を待ったかのように壊れました。

約十八年間のお付き合いでしたね。

そんな風に、時間も経ち、私は病気という爆弾を抱えながらも子ども達にも恵まれました。


◇◇◇


読み語りに参加して、得たことが沢山あります。

ここに言い表さなくてもお分かりいただけると思います。


◇◇◇


誠にありがとうございます。


まだ、あと二年は、小学生です。



これからも、よろしくお願いいたします。


◇◇◇


令和元年五月一日


ましろ こゆき















<終>

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

読み語りボランティア3 いすみ 静江 @uhi_cna

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ