生まれは選べない。だから、終わり方を選べ。

バッドエンドに取り憑かれた人間と吸血鬼たち、そしてそれに抗う主人公の物語。特異体質の主人公が、吸血鬼の少女を殺すところから始まるこの物語――とだけ言うと類似作品を思い浮かべる方もいるでしょうが、私は殺されて魂だけになった少女が「殺してくれてありがとう」と言い出す所から、これは何か違うな、という気持ちになりました。
第一章は綺麗に物語が一区切りするのではなく、強烈な引きで終わるのでなかなかニクイところ。しかしそこへ至る経緯も、「ありがとう」という感謝の意味も読んでしまったら、手を出さずにはいられないでしょう。
話の構築が綿密で、二章の収束、主人公が彼女を殺した経緯にまつわる「ある吸血鬼の末裔一家」の物語が垣間見えるストーリーに心震えました。

そして……三章から出てくるのは「ヒョットコ」です。

何を言っているか分からない? とにかく出るんですよ、ひょっとお面でスーツでカラコロと下駄履くやつが! でも、これまできっちり練られた背景やドラマを感じているから、「ただ奇をてらっているだけではない……なにかある!」と信じられる。だからついていく。そんな作品です。

4章ではいよいよ、主人公の抱える特異体質「殺傷症候群」の正体が明かされました。序盤での説明から、同じ患者が複数存在するのではと思ったけれど、やはりいるんですねえ。これはかなり危険な状況に鳴っているのでは? 十字軍は彼らを、そして他の発症者をどう扱うのか。これからも目が離せません!
 

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