涙の数だけ強くなれなくても。

生まれつき極端に涙もろい主人公・みうが、<海の神>からの手紙を受け取って涙腺の修理をするために出かけます。

ひとはどれだけの涙を、内なる「海」に抱えているのでしょう。
彼女のように涙がよく出る(しかも一緒に目から魚も飛び出る)のは、確かに少し不便かもしれません。
でも、たくさん泣くことは、ほんとうに「欠陥」でしょうか。

まるで落語のようなユーモアをそこかしこにちりばめながら、最後は胸がじんとする、ちいさな宝物のようなお話です。
色とりどりの花々と、すきとおった涙のしずくのイメージが、いつまでも心に残りました。