すぐ涙が出てしまう、そして涙と一緒にお魚が出てきてしまう特異体質な主人公の〈みう〉。
一通の手紙に救いをもとめるようにして、彼女は海へと向かいます。
バスに乗り目的地へと向かう道のりの景色、たどり着いた海での、海の神様(予想外な姿!)との邂逅。
すべてのシーンが、らしさんのユーモラスかつ優しい筆致で色とりどりに描かれ、感受性ゆたかな主人公に心を寄せながら読みました。
読み終えたとき、主人公を、この物語をギュッと抱きしめたいような、
同時に、読者であるわたし自身が、やさしく抱きしめてもらったような気持ちになりました。
わたしは泣き虫です。目から魚が出たことはいまのところ、ありませんが、もし、出たとしたら寒ブリぐらいは出そうな勢い。
ずっと、すぐに涙が出てしまうことは、恥ずかしいことだと思っていました。
でも、この物語に出会って、なみだのことを少し愛おしく思えそうです。
わたしの涙腺も、きっときっと、広い海につながっているのでしょう。