捨てるに覚える子の慟哭を

作者 神取直樹

世界は残酷で厳しく、美しい

  • ★★★ Excellent!!!

生贄になるため、閉じ込められて育った銃夜。
普通の子供、人間とはかけ離れた生活を送っていた銃夜の環境は、安部家に預けられることで大きく変わる。
大きな変化に戸惑いつつも、少しずつ受け入れて人間せいを取り戻していく銃夜。
それをあざ笑うように現れた異界が、銃夜の世界を再び大きく変えることになる。


和風ダークファンタジー。その一言だけで好きな方はトキメキを覚えるのではないでしょうか。
現代を舞台にしながら歴史が深く、複雑に入り組んだ各家の関係。
恐ろしい神を鎮めるために生贄が必要という状況。
そういった全体的にシリアスな背景を持ちながらも、前半部分はあらすじにもある通りほのぼのとした雰囲気で進みます。
それをぶち壊し、登場人物、読者に牙をむく展開は見事としかいえません。

切なさがありつつも、生きる。という強い決意や、一筋の希望を抱くお話です。
けれど、番外編。とある通り、こちらは本編に登場している一人の少年を中心に見た過去の話。
本編をよんでいなくても分かる構成になっていますが、こちらでは明かされない謎、解決していない問題も多く残されています。

それは今後、本編である「行くも飢えるもこれ一重」で明かされていくことでしょう。
本作主人公である銃夜君の活躍も気になるところです。
番外編から先に読んだ方は、ぜひ本編の方もご覧ください。

絶望の中でも抗い続ける登場人物たちの生きざまを、筆者も一読者として見届けたいと思います。

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