長編に匹敵する濃密な世界観。
- ★★★ Excellent!!!
黒髪と赤い瞳キャラクターの自主企画と、タグの「カニバリズム」にひかれて拝読しました。
現代日本でありながら、登場人物たちからは平安貴族いや、それよりも以前の日本の世界に生きている匂いがしました。そして、原初の神や闇、異界の香もまた、濃厚です。
物語は人間として扱われない少年と、それを取り巻く人々の陰謀から展開していくダークファンタジー。謎多き神の襲来と、少年をその神に捧げようとする人々の間で、主人公とそれを取り巻く人々が敵味方入り混じり、葛藤していく。しかしこの葛藤は心の内だけではなく、主人公たちの存在そのものが、葛藤にさいなまれるように語られている。
神とは? その神という存在が本来的に求める物とは?
人とは? 神の現身なのか?
影とは? 物理的にではない、その意味とは?
これは中編ですが、長編を拝読した後のような、満足感があります。
古来系の世界観や名前が苦手な方には、説明書きから入ることをお勧めします。
是非、ご一読ください。