罰を受けた者たちの地獄堕ち

  • ★★★ Excellent!!!

人間は綺麗なものが好きな反面、汚いものにも同様に惹かれますが、今作はそのバランスが絶妙でした。
例えば甲斐荘楠音の絵を見る時の感覚に似て、「汚い、おぞましい、でも目が離せない」と読み進めてしまいます。
人間の汚い部分であったり猥雑さがない交ぜになった作品ですが、どことなく品の良さが漂うのも魅力の一つ、作者の持ち味なのでしょう。
また、読んでいる間に何度もルーベンスの“Der Höllensturz der Verdammten”が頭をよぎりました。日本語訳では「地獄堕ち」あるいは「罰を受けた者たちの地獄堕ち」となるようですが、私的に「熊本くんの本棚」に通ずるところのある絵だと思っていますし、岡山の女の中にはこんな地獄が広がっているかもしれません。
是非とも書籍として手に取りたい作品です。

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