フェンスを隔ててすぐ目の前に、米軍基地という、ひどく遠い世界がある

昭和30年、七夕祭りのころ。

米軍基地に隣接した町の空には、終戦から10年経った今も、
頻繁に戦闘機が姿を見せ、時には墜落して炎と煙を上げる。

その町で育った昌子にとって、戦闘機は怖くて疎ましい。
何かにつけて米軍基地は昌子の生活の端っこにちらつく。

人々がまだ戦争の影を背負ったまま生きていたころの風景。
単なる怒りとは違う、どこか漠然とした憎しみが刺さった。

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