蒼穹を仰ぐ夏

作者 淡島かりす

6

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★★★ Excellent!!!

昭和30年、七夕祭りのころ。

米軍基地に隣接した町の空には、終戦から10年経った今も、
頻繁に戦闘機が姿を見せ、時には墜落して炎と煙を上げる。

その町で育った昌子にとって、戦闘機は怖くて疎ましい。
何かにつけて米軍基地は昌子の生活の端っこにちらつく。

人々がまだ戦争の影を背負ったまま生きていたころの風景。
単なる怒りとは違う、どこか漠然とした憎しみが刺さった。

★★★ Excellent!!!

戦争は終わった。
だからと言って、人が死なないわけではない。
故意に殺されることはなくても、戦闘機の墜落に巻き込まれて死ぬことはある。
米軍基地に隣接し、そんな仮初めとも呼べる平和を手にした街の一夏を、少女の視点で描いた物語です。
大人たちのように慣れきってしまうことも、自ら変わることも、外部からの変化を許容することも出来ず、かといって次に戦闘機が堕ちてきたら自分が、もしくは近しい人が死んでしまうかもしれないという漠然とした恐怖を抱いたまま、淡々と綴られていきます。
そんな思いを抱えたまま、きっと何かを変えることも変わることもせずに、彼女は大人になっていくのでしょう。

「平和」を掲げながらも漂う重苦しさに、考えさせられる作品です。