新しい扉を開こう/監獄殺伐百合

殺伐百合は読んだことあったんですけど、ここまで黒いのは初めてでした。
それぞれが自分の欲望のためだけに動いているので、ドロドロしていてそういう雰囲気が好きな人は堪らないでしょうね。
自分は黒すぎる話が苦手なはずだったのに、1日で最新話まで読んでしまう不思議な魅力があります。
どう完結させるのか一切予想がつかないです。
最後に、黒いの書いて精神引きずられないように頑張ってください。


ここからは加筆しております。


お話の舞台を簡単に言うと「ファントム」という刑務所から脱走した罪人が詰め込まれる監獄です。囚人は女のみです、大事なことなのでもう一回です、『囚人は女のみです。』
この要素だけで殺伐な百合が読めること間違いなし!と思いませんか?だって監獄に入れられるような女が集まるんですよ?血の気の多い女達が閉鎖空間に閉じ込まれるんですから、中で起きることは殺伐な百合だ!と聡明な百合好きの皆様方なら気づけると思います。

じゃあお前設定だけが殺伐百合なのか?って?違いますよ、断じてそんなことはありえません。
女一人一人の思惑があり、それぞれが自分の為だけに動く、そうすればドロドロ殺伐百合の完成です。
人の考えなど千差万別なのですから、感情の押しつけ、身勝手な行動、表と裏では違う顔、ほぉら、これを見たら素敵な百合だと理解できる筈です、そう信じてます。
自分を優先するかるこそ生まれる関係性、巨大感情がより良く輝き、大きくなるのです。

それもこれも作者様の技量があるからこその結果なのです。
私が同じ設定で書け、と言われたらここまでの物語を書くのに余裕で人生を使い果たします、というかそれでも書けないです。
癖の強いキャラ達を操り、最高な展開に話を持ち込んでいく。
その技量が凄まじいのです。

他にも注目して貰いたいのがキャラの視点移動の多さです。
普通は主人公がいて、その主人公を軸にしてお話が進んでいきます。ですが、この『About lovely rabbits』においてはそれの逆を突き進んでいます。
軸となるキャラが変わることによって、そのキャラが何を思い、何を考え、行動しているのか、それがわかることにより話に厚みが増しているのです。

ここまで色々書いておりますが『About lovely rabbits』の魅力については三割ぐらいしか伝えれていないので、このレビューを見て気になる!と思ってくれた方は是非とも読んで欲しいです、そうしたら先程からある『殺伐百合』という言葉の真の意味がわかる筈です。

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