跳梁跋扈する拳と感情

 第一に、90話に及ぶ物語を綺麗に完結させた作者の力量にただただ感服。

 等しく愚かな女たちが牢獄という閉鎖空間で繰り広げる壮絶な殺伐百合。殺伐も百合も単なるアクセントではなく、「殺伐百合」とまとめて称するのがふさわしい、そんな作品。
 若干スロースタートなきらいはあるが、ACT.40あたりから物語は一気に加速していく。前半部分を贅沢に使ったことで生じるその爆発力は圧巻。
 登場人物は一癖も二癖もある奴ばかり。琴線に触れたキャラクターがいればその結末を最後まで追い求めるべきだが、そこからorそこへの矢印がどのように変遷していくかを同時に楽しむことで、この物語の魅力は何十倍にも膨れ上がる。
 個人的にはエラーと彼女をめぐる感情の行方に心踊らされた。結末は程よくドラマティックであり、また程よく妥当であった。非常に満足している。
 最高の屑たちの最高の輝きを見たい方に勧めたい。

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About lovely rabbits

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