ある日地面に女の子が落ちていた

 作品の紹介文にあるとおり、ジャンルとしては落ちもの青春コメディを目指して書かれたもの。ちょっと普通と違うのは、いわゆる落ちものが空から降ってくるのに対して、このお話ではすでに女の子は落ちていて、そこら辺に存在している状態からスタートする点です。
 読み始めたときは「神様って言ってるからこの女の子は神様なんだろう」と思っていました。しかし、どうもそうではない。たこ焼きで火傷するし、口調は定まらないし、大人にも普通に見えてるっぽいし、つまりこれは中二病の女の子なんだな、とそのように推理させられる。
 この自然な思考の誘導。半信半疑の状態から読んだ人間が自らどちらかを選択することで、強固にそれを事実だと思い込ませる上手さが尋常でなく、私はすっかり「たまたまアルビノだったせいで中二病が終わらない女の子とその白い女の子に一目ぼれした男の子のおねショタ物語」と納得してしまったのです。
 そうやって丁寧にお膳立てを整えた上での引き、九年の歳月でまったく変わらない姿。そう、白い女の子は本当に神様だったのだと切り込まれた鮮烈さが素敵すぎます。

 さて、こうしてメインキャラでがっつりと掴みつつ、気になるサブキャラの情報もまた、巧妙に滑り込ませてきているのが作者さんの上手いところだと思います。九年前は父さんだった母さん、もこ神様よりも平たい胸を持つ幼馴染の三弥ちゃん、ちょろっと出てきただけにも関わらず、しっかりと印象に残るプロフィール。細かいところまで仕事が丁寧で、これから先の「僕」やもこ神様との絡みに否が応でも期待してしまいます。

続きを楽しみにしています。

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