この物語の神様はきっと全能ではない

 一神教の神と多神教の神の違いはよく語られるところです。この物語に出てくる神様は多神教における神で、多くの多神教の神と同様に全能ではありません。
 神様たちは願いが持つ力を束ねて、それに方向性を与えることはできても、願いが持つ力自体は人間の中にあるもの、とこの物語では書かれています。
 束ねた願いを何に使うのか、束ねられる願いに込められた力は「善い」ものなのか。一人一人の願いの力では願いはかなわず、神様だけが存在しても願いはかなわない。神と人の双方が善きものであったときにはじめて願いが叶うという構図こそが、作者さんの願いであるのかな、と思いました。

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