人の願いの集まる先

とある神社に住む神の一家が、参拝客の願い事を叶える新年のお話
神様の目を通じて可視化される、人々の願い事。現実には存在しない空想上の光景の、その絵面(というか可視化のされ方、その発想)がとても幻想的でただただ綺麗でした。
それぞれ色や形の異なるお札となって降り注ぐ『願い』。人間のそれとは違う、神の次元の物理法則。その書き表し方が独特というか、映像的な美しさに迫力を感じます。
個人的に一番好きなのは、表題にもある『新しい星』という部分です。星、という表現。作中の願い事の中の表記では『違う星』。願いが叶ったということは、この部分も現実となったのだと思います。もちろん、比喩的な意味として(個人的には現実的な意味でもいいのですけれど)。
これから少年の辿り着く先、「幸せになる」という未来は、いままで彼のいた星とは違う星。この物事の捉え方。なんだかため息がこぼれてしまうような、この柔らかくて優しい発想がとても好きです。

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