大澤めぐみの新作。たいへん良いのではないかと思う。

おにぎりスタッバー、ひとくいマンイーター、6番線に春は来る、と3冊の本を出しているプロ作家の新作。それもホラー。心霊現象でビビらせてくるスタイルではない。ホラーはホラーでもホラーサスペンス。ファイナル・デスティネーション系。見方によれば悪の教典。
初の公式連載ということだが、これもまた本になるのだろうか?


内容は相変わらずの自意識が高くて面倒な秀才たちの物語。
頭を使うのが好きというか、どんな些細なことにも頭を使って論理武装しないと生きることができない全身性感帯の不器用な奴。メモリを無駄使用して肝心なことが疎かになる奴。でっかい穴の開いた鋼の貞操帯みたいで、それなんのためにつけてるの?なにを守っているの?ファッション?重いしかぶれるだけだよ?と突っ込みたくなる奴。
端的に言うと、由緒正しき純血のオタク思考がベース。当然、劇中での会話やモノローグもゴリゴリにオタク。二次元ネタは清潔感が無いからか出さないっぽいけれども。
なんにしてもコモンセンスを斜め上から見るところがあって、排他的で、そのぶん自分の狭いコミュニティへの帰属意識が高く、選民思想を抱きがち。まさしくオタク。劇中だとガワが美少年美少女だから限界レッドラインで許せる性格。
そういうの鼻につくよね~って言われると、わかる~って返すしかないんだけれども、そういう拗れた美少年美少女の物語って私好き~って言われると、わかる~って力強く頷くタイプ。
まあ、要するにオタクがオタクのために書いた物語。この作者の芸風ていうか、根差したものていうか、これまで食べてきたものがドスコォォォォォッッイッ!!!!ゴッチャンデスッ!!!!!!!って全裸にダイレクトに節操無く反映されているから、合わない人にはとことん合わないし合う人にはとことん合う。
でも、本読む奴ってみんなオタクなので、だいたい合うと思う。合わないのは同族嫌悪。君の中の大澤めぐみが、真の大澤めぐみを決めようとファイティングポーズを取っているだけ。いや、流石に冗談だけれども。近い感情はあると思う。


少なくても、俺は素直に好感を抱けた。キャラクターの思想。物語のテーマと魅せ方。描写の拗れた精緻さ。
あと、レズ。いや、百合?
ガチな奴では無いんだけれども。なんていうか、こう、自我が未成熟な思春期の少女が抱きやすい、同性への憧れが揺れて歪んで生まれた愛情。プラトニックレズ。思春期の少女だけが持つことを許される感情。一夜花みたいな。こういうの好きでしょ?って聞かれたら、好き!って答えちゃうの。オタクだから。
物語の根幹のジュブナイル部分も、なんていうか、こう、オタクが憧れて布団の中で想い描いた、もしくはワイワイ騒がしい教室の隅っこで想い描いた、理想のジュブナイルみたいなところがあって、ああ~わかるわかる、こういう妄想したわってノスタルジーな気もちになってくる。これが読んでいて滅茶苦茶居心地が良い。よく言う実家みたいな安心感。あれあれ。すっごいシンパシー。
それでいて変に生々しいところがあるから、妄想練度の高さが痛いほどに伝わってくる。つか痛い。
痛いって最高にオタクでジュブナイルだよね。そう思った。


これはとても良い物語だ。本になったら買いたい。本にしろ。

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