「恐怖」が手指を持ち執筆しているのか

この作品を読んだ人はみな、底知れない気味の悪さや後味の悪さを覚えたに違いない

その「恐怖」は「ホラー」や「サスペンス」というジャンルよりも、私たちが時おりみる「夢」に近いものだ
夢とは理解し難いもの、その世界は現実に似ていてあるいは似ていないものである。この作品の世界観はそれに近しいと感じている

作品世界の中で男を突き動かし耳もとで囁いた存在も、まさに彼の夢の中にいたものだ。この小説はおそらく、その夢の中の存在が私たちを恐怖させるべく執筆したのだろう

さて私はまた別の意味で「恐怖」している。それは才能溢れる若き新人ミステリー作家を、こんな場所で発掘してしまった"私自身"にだ(正確に言えば先を越されているが)

Kisaragi先生の本作品の誕生を祝し、次作品への期待を込めて

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