優しくて、温かくて、眩しいほどキラキラしてる!

 この作品に出会えて、本当に良かった。こんなにもみずみずしく、優しくて、温かく、眩しいほどキラキラしているモノに出会えるなんて、めったにない。心が不安定な時は、この作品で一休みしてほしいくらいだ。読んだ後にはきっと、心がすっきりするはずです。
 この作品は、作者様の幼少期のエッセイ風の物語である。子供は純粋と言われるが、時に残酷なことをする。蟻地獄に蟻を入れたり、虫を捕まえたり。しかしそれは、好奇心という純粋さに基づいた「残酷さ」なのではないだろうか。つまり、「子供は意外に残酷なことをする」というのは、大人の価値観だ。子供は純粋な好奇心によって経験を積み、成長する。
 作者様の本当に美しい日本語で表現されるこの作品は、思い切りキラキラした懐かしい光景を見せてくれる。「子供の残酷さ=暗い」という物語が多い中、この作品に暗さや重さは感じられない。それはきっと大人になって、表面上でしか好奇心を得られなくなってきているのではないか、と思わされる。
 子供の頃にあった、「残酷」でキラキラした「好奇心」は今、貴方の心のどこにしまわれていますか? そこから派生した優しさや勇気は、今でも息づいているだろうか? 何回でも読み返したくなる、貴方にとっても大切な何かを呼び起こす作品です。
 是非、ご一読ください。
 

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