第6話 やっぱ働かないで引きこもってる

 さて、そろそろ時間になりそうだなぁ。

 あれから侵入者はいねぇし、暇だ。もうこっそり帰ってしまおうか。サラが恋しい。

「そこで何をしてるんです、雑巾」

 現れたな、幼女!

 見ればわかるだろ?仕事だよ。たとえ寝転んでいても仕事って言ったら仕事だ。

「チッ、さてはテメェ暇だろ。さっきも来やがったしな」

「そんなわけ無いでしょう。馬鹿ですか?」

 ん?

 OK。取り敢えず、喧嘩売りに来てるのは分かったぜ。

「で、ホントに何しに来てんの」

「暇潰し?」

 何故、疑問系?俺に聞くなよ。

 だったら寝てろよ。

「ハァ………。いいから、はよ戻れ」

「お断りします」

 ………縛ってでも帰らせようかな。

 もう普通にウゼェ。

「メンドクセェ」

「は?」

 もういいや。ここでやっちまえ。

 てい。

「『王のプレッシャー』」

「な!」

 ハイハイ、ビックリしますよねー。を吹き飛ばされりゃ。

「何を…!」

「黙ってろ。ったく、まさかこんな近くに敵さんが居るとはね」

「………」

「ルー?」

 おいおい、昼飯貰ったときとは別人過ぎやしないですかい?その黒い肌に禍々しい角は、悪魔じゃないですかー。

 最近の悪魔はスゲェー。ま、俺からすればまだまだだけどな。

「目的はなんだ」

「貴様!」

「チッ、死ね」

 良くわからんが、死ね。問答無用で攻撃!

 俺の持つ最高クラスの消滅魔法『廻る陽の煌輪アポロスリング』発動。

「太陽神の神々しき焔に焼かれて消えろ」

「なっ!」

「待って!」

 んだよ、クソ幼女。お前に構ってる暇は無いんだが。

「ころ、さないでください」

「断る。相手は悪魔だ。滅すべきモノだと言われてるはず」

 まぁ、そこら辺は俺にとってどうでも良いけど。さっさといなくなれば無駄な魔力を使わんでいいし。

「今だ!」

「甘いな。『乖離する空間ヴァジニティ』」

 この魔法で作った箱からはどんな事をしようが進めんよ。四方、上下もな。

 さて、そのまま押し潰して殺してもいいが、このクソ餓鬼が邪魔だな。

「さっさとどっかいけよ」

「断ります。ルーを放してくれるまで」

「え、もう殺していい?」

「「この野郎、人の話聞いちゃいねぇ!?」」

 おいこら、悪魔も一緒に突っ込んでくんなよ。あと、口悪いぞ。

 あーもう、調子狂うなぁ。サラが復活する前に片付けたいんだけどなぁ。

「ま、取り敢えずテメェは死ね」

「雑くないか!?」

「だから、殺さないでって!」

 外野邪魔。さっさと退け。

おい、そんな目で見るな。止めろって。

 ………あぁもう、分かったよ。

「な、何故解放した!」

「幼女が煩いから」

「ルー!!」

 あ、勝手に近寄んな馬鹿!死ぬ気か!?

 って、オロ?どう言うこと?

 何で抱き合って泣いてんの?

「訳がわからん」

 なぁ、誰か説明プリーズ。


 ***


「えっと、どこから説明しましょうか」

「簡潔に頼むわ。悪魔もといメイドのルー」

 出来れば一言で。面倒のはやです。

「私が召喚した悪魔。私の護衛。OK?」

「一言で言えや。でもまぁ、わかった。要はぶっ殺していいんだな」

「「分かってなかった!」」

 ん?何が違うのだね?

 もう、めんどくさいじゃん。サクッと殺っちまおうぜ。

「と、まぁ、冗談はこっちに置いといて」

「ゼ、全然、冗談に聞こえませんでしたが?」

 ナンノコトカナ♪

「で、俺はどうすれば良い?」

「内緒で」

「お願いします」

「ハイハイ。じゃ、俺は帰るから」

 早く帰って寝る。もう疲れた。

「え、なにも、聞かないのですか?」

 メイドになったとたん変わるなアンタ。

「聞くこと無いしな」

「ですが」

「しつこいと消し飛ばすぞ」

「ア、スイマセンデシタ」

 さ、帰ろー。帰って、サラとイチャイチャしてこよー。

 ちなみにその後、依頼終了日まで何もなく平和に過ぎました。え、そこの部分教えろって?

 めんどい。


 ***


「ちゃんと働けましたね」

「もう絶対働かないけどね」

 そ、そんな泣きそうな顔で見てもヤダからな!

 って、外野もウルセェ!

 さっきから、「真面目に働け穀潰し」とか「馬糞にまみれろ」とか聞こえてんだぞ!

 お前ら後で覚えとけ。一人一人丁寧に埋めてやる。

 土に。

「さ、リオさ。帰りましょうか」

「………」

「どうかしました」

 いや、一瞬嫌な予感が。

 ガシッ!

「………ナンデショウカ、ゼラサン」

「修理代、忘れてないなぁ?」

 くっ、逃げられないか!

「ちゃんと払えよ?勿論、自費で」

「さっきの依頼費じゃダメッスか?」

「死ぬかい?」

 ははは、拳握りしめてらっしゃる。

 誰か助けて!?

 おい、目を逸らすな。こっち向けや。

 え、サラチャン?ちょ、助けて!?助けてくださいよ!お願いだから、てかサラも同罪だよね?

 見捨てるのは良くないよ!愛しのリオさん、連れてかれてますよー!

「ほら、行こうか」

「やだ、帰りたい」

「駄目だ」

「うぅ。やっぱり働かないで引きこもってればよかったぁぁぁ!!」

 俺の声が虚しく夜の街に響きました。

 この後、どうなったかだって?

 聞くな。思い出したくない。とりあえずあの場にいた奴ら全員に仕返しして、サラには火が出るほど真っ赤になる夜を過ごしてもらったよ。

 あぁ、スッキリした。

 でも、働かないで引きこもってる方がやっぱ良いわ。引きこもり万歳。

「リオさん!早く部屋から出てきなさい!!」

 ………二度寝再開。

 ついでに防音しとこ。


 ズっドォォォン………


 防御も固めとこう。

 死にたくないし。………あれ、これ起きたら殺されね?

 お、起きるか。

 おぉ、神よ。マジ頼む、サラが怒らないようにしてくれ。いや、ホントマジでお願いします。

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引きこもり賢者は働きたくありません 葉劉ジン @haryu569arisu

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