第5話 コイツら………誰だっけ?

 ………あの、着いてから思ったんだけどさぁ。


 何で俺、ここに来てんの?だって、働きたく無かったじゃん。

 普通に真面目に来ちゃったよ。

 よし、帰ろう。仕事なんかやってられっか!

 俺は帰って寝る!

「あ、遅かったですね。リオさん」

「アハハハ。ちょっと寝過ごしました」

 チクショウ!逃げられなかったぜ☆

 てか、よく考えたら来なきゃ良かったんじゃね?

 HAHAHA!真面目か、俺!?

「あの、どうかしましたか?」

「あ。いえ、何でも」

「………?そう言えば、昨日一緒にいた方は?」

「体調が悪いので来てない。まぁ、良くなれば来るかもしれない」

 うん。嘘は言ってないよね。嘘は。

「はぁ、そうですか。なら、今日はリオさんにお任せします。実力は申し分無いでしょうし」

「分かりましたよっと」

「それでは、後の事は宜しくお願いします」

「ハイハーイ」

 仕事熱心だねぇ。って、はやっ!あの馬車クソはえぇ!

 もう姿見えなくなったんッスけど。

 ………貴族すげぇー。

「………はぁ。さてと、それじゃ早速仕事しますかね」

 つっても侵入者用の罠の強化と新設、感知結界を張る位なんだよねー。

 まぁ、なんて楽なんでしょ!

 これだけで済めば、ほんと楽なのに!

「おっとと、早速罠一つ目発見。これは魔力感知型の攻撃罠か」

 確か設定した魔力以外が近付くと反応して中位の魔法打って来るやつだな。まぁ、魔力を消してる俺には反応しないけど。

 じゃ、これは感知範囲を少し広げとくか。

「………よし、終わりっと。ほんじゃ、次に行くか」

「何してるんです?雑巾」

「出たな、クソ幼女」

 チッ、やっぱり起きてたか。

 寝てる間に済ませようと思っていたのに。

「早く私の質問に答えなさい」

 こいつ、どんだけ上から目線なんだ。

 喧嘩売ってんだろ?アァン?

「はやく」

「………………………………仕事だよ」

 よく耐えた俺!切れずにちゃんと答えたよ!

 後で誉めてもらおう。誰にとは言わんが。

「あっそ」

「ったく、分かったらさっさと部屋に戻れよ」

「えぇ、そうするわよ。じゃね、ボロ雑巾」

 ハァ………?やっぱお前絶対泣かせるわ。

 マジ覚えてろよ。

 クソ、あの幼女のせいで時間が減ったわ。さっさと続きせんと。


 ――二時間後


「やっと、おわった………」

 罠の強化と新しく設置するのに時間かかったわ。と言うか、広すぎだろうが!

 どうやって手入れしてんだ、これ?

「あ、まだ結界張ってねぇー」

 えーマジかよ。もうやる気失せてるよ。

 あー、帰りたい。

「リオ様大丈夫ですか?」

「ん?だれ?」

「初めまして、メイドのルーです。昼食をお持ちしましたが、お食べになりますか?」

 もうそんな時間か。

「貰うよ。どうもありがとさん」

「礼には及びませんよ。警備とはいえ外から来られた方。それを世話するのが我々の仕事の一つですから」

「そうかい」

 仕事熱心ッスね。尊敬します。

「それでは、感知結界を張るのも頑張って下さい」

「ハイハイ」

 メイドも行ったし、さっさと昼食食べて仕事再開しますか。

 でも、これは二秒で終わるんだけどね。

「『総てを見透す瞳ラプラスピープル』限定解除&『蜘蛛の糸』」


 ――『総てを見透す瞳』。賢者リオ作の感知系の魔道具。眼鏡の形をしたこれは場所を問わず総てを視ることが出来るのだが、それ故に視た情報を処理する脳への負荷が強すぎるためいかに賢者と言えども最長一時間が限界である。しかし、視る対処を限定しての使用であれば何時間でも使用できる。

 そして、『蜘蛛の糸』は東洋の結界系魔法で極小の魔力製の糸を特定の場所へ円上に張り巡らせ、それに何かが触れたら術者に位置を知らせる――


「まぁ、これがあればどうにかなるか」

 しかし、眼鏡の形にしたのは間違えたかな。

 すんげぇ邪魔。蜘蛛の糸に触れたやつの姿をすぐに視認するためとはいえ激しく動けばすぐに取れるからなー。

 後で違う形にしよ。

「えぇ………。早すぎだろ来るの。仕掛けて一分で侵入者が引っ掛かったわ」

 距離近いし、さっさと追い返すか。

 えい、『瞬間移動テレポート』。

「はい、どうもー」

「なんだ!?てめぇ、どっから現れやがった!」

「教えるか、馬鹿。手加減した『龍の羽ばたきドラゴアラティオ』」

「グオゥ!?」

 よし、これでもう来ないだろ。

 って、また!?今度は東と西側の両方かよ!

『総てを見透す瞳』で確認しとくか。

「んん?こいつらどっかで見たことあるぞい?金色甲冑と上裸男………」

 コイツら………誰だっけ?うん、やっぱ記憶に無いね。

 取り敢えず上裸から仕留めるか。

「と言うことで、どーん」

「ウギャッ、ってデメェは!」

「わりぃ、お前の事は記憶にな『龍の羽ばたき』」

「ぜめて、最後まで言えぇぇぇ!?」

 そんな事は、知らんよ。

 そんじゃ、次々。

「また、どーん」

「な、おぬsi…」

「おま『龍の羽ばたき』」

「雑すぎぃぃ!?」

 だから、知らんって。よし、もう居ないか。

 まぁ、あれだけ空に飛ばせばもう来ねぇか。

 しかし、最初の奴以外は俺を知ってるみたいだったが、どっかで会ってたっけねぇ?

 まぁ、どうでもいいか。記憶に無いみたいだし。


 そして、その後は何もなく一日が終わった。


 明日も何事もなく終わればいいなぁ。

 え?ふらぐ?何それ、美味しいの?


 その頃………

「リオさん、ちゃんと仕事してるかなぁ」

「流石にするんじゃないかい?」

「だといいなぁ………」

 目を覚ましたサラが凄く心配していた。

 一緒にいた化粧の濃いババァは苦笑していた。

「誰が化粧の濃いババァだぁ?」

 あ、すいません。

「ゼレさん、どうかしました?」

「何でもないよ」

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