第2話~アジアの涙 怪人百面相の怪~二の巻

.

 

 

 


明智大五郎探偵と 少年探検団は

 

 

勢いよく 美術館の 扉を 開けた

 

 

そこは 20畳位の 広さがある

 

 

エントランスホールに なっており

 


左右に 階上へと 上がる 階段が

 


暗い 二階へと 伸びて いた

 

 



吹き抜けの 天井に 飾られた 

 


シャンデリアが 薄く かがやき

 


不気味な 今宵を 闇の中へと

 


誘って いた

 

 





 

 

「 明智先生 アジアの涙は 

 


 大丈夫何でしょうか? 」

 

 





 

 

大林少年は こみ上げてくる 緊張から

 


思わず 明智大五郎に 問うた

 

 

 




 

 

「 大丈夫だ 大林君

 


 警察署から 小村警部が 何人かの

 


 部下と 一緒に 昨日の 昼から

 


 宝石が 展示してある 部屋に

 


 付きっきりで 見張って くれている 」

 

 





 

 

「 そうだったんですね 

 


  それを 聞いて 安心しました 」

 

 





 

 

他の 探検団の メンバーも 安心したのか

 


強気な 視線を 崩さない

 

 





 

 

「 先生 早く 屋上に行って

 


  怪人百面相を 捕まえ ましょう! 」

 

 

 





 

 

「 いや もう屋上に 行っても 

 


 怪人百面相は いないだろう すでにこの 

 


 美術館の 中にもぐりこんでるはずだ 」

 

 

 




 

 

明智大五郎は そう つぶやくと 少し

 


考えながら 少年探検団に 言った

 

 





 

「 大林君と私は アジアの涙が ある部屋へと

 


向かう 他のメンバーは念のため 散らばって

 


美術館の 動きを 見張って くれたまえ

 


配置は 今から 地図を 見せるから

 


各自 それに 従って くれ 」

 

 






少年探検団は 明智大五郎探偵から 渡された

 


地図を 見ながら 自分たちの 見張る

 


場所を 確認した

 

 


メンバーが 散らばる 前に

 


団長の 大林少年が 他のメンバーに

 


7つ道具の 確認を する

 

 





 

「館内は 暗いところが あるから

 


 ミニライトを 忘れないこと そして

 


 もし 怪人百面相を 見つけたら

 


 ペンシル型の 笛を 吹くんだ

 


 その時 余裕があれば 蛍光弾を

 


 怪人百面相に 撃つ

 


 みんな わかったかい!」

 

 





 

 

 「 おーっ!! 」

 

 





 

 

元気な 声が エントランスホールに 

 


響き 少年探検団は 自分の 担当エリアへと

 


散らばって いった

 

 






「 よし 大林君 我々も 動くとしよう」

 

 






薄暗く 伸びる 廊下を 右に

 


明智大五郎探偵と 大林君は アジアの涙が

 


展示してある 部屋へと 急いだ

 

 



廊下を 突き当り 今度は 左へ

 


そのまま 長い廊下を 薄暗い 電球に

 


照らされながら 進むと 最後に もう一度

 


左に 曲がる

 


そして その 突き当りに ある

 


西洋風の 白い扉の ある 部屋が

 


アジアの涙を 展示してある 

 


今回の 現場に なる 部屋だ

 

 



通路を 曲がった時 その 展示室の 前に

 


人影が 見える

 


薄暗いが それが 警官だと わかる

 

 

近づいて 行き 明智探偵が 声を かける

 

 






「お疲れ様 変った事は ありませんか?」

 

 






「はっ! ご苦労様です!

 

今のところ 変わった ことはありません!」

 

 






いかにも 警官らしい 返事が かえってくる

 

 






 「小村警部は?」

 






短く 明智大五郎探偵が 聞く

 

 





 「はっ! 小村警部は この部屋の

 


  中に おいでに なります!」

 

 







「すまないが 明智が 来たと伝えて

 

  

 くれないか」

 







明智大五郎探偵が そう言うと

 


扉の前で 警備していた 警官が 扉をあけ

 


部屋の中に 向かい 二言三言話すと

 


明智大五郎探偵と 大林少年に 向かい

 


警官が 言う 

 

 






「中に 入ってきてくれとの 事です」

 

 






遠慮がちに 開けられた 白い扉を

 


二人は くぐり 部屋の 中へと 進んだ

 

 



その部屋は 普通の 学校の 教室位は

 


ありそうな 広さで 

 


床が 大理石で 出来ている 白壁の

 


洒落た 部屋だった

 

 



部屋の 真ん中に 分厚いガラスケースに

 


入った アジアの涙が

 


鈍い光を 放ちながら そこに

 


佇んでいた

 

 



こんな 宝石が 人を 惑わせる

 


それが なんだか おかしくて

 


明智大五郎は 苦笑いを した

 

 



大林少年は 顔の表情も 変えずに

 


それを 凝視 している

 

 

彼もまた 幼い少年とは 言え

 


この宝石の バカバカしさに 呆れて

 


いるようだった

 

 



部屋には 5人の 警官が いた 

 


部屋の角に 一人づつ そして 

 


もう一人が ガラスケースの 横に

 


腕を 後ろに くみ 立って いる

 

 



こんな 厳重な警備にも かかわらず

 


怪人百面相は この アジアの涙を

 


奪いに 来るのだろうか?

 

 



明智大五郎探偵は 少し 考え

 


可能な限りの 手口を 割り出して いた

 


その時 明智探偵に 誰かが 話かける

 

 







「 また 考え事を しとるな

 


 結構!結構! わはははは~」

 






小村警部だった

 






少し 薄くなった髪の毛を 後ろに 流し

 


鼻の下に くたびれた 口ひげを はやし

 


よれよれな 背広に くたびれた ネクタイ

 


周りに 部下の制服の 警官がいなければ

 


警察関係者とは 誰も 思わないであろう

 

 



でも そんな 人間臭いところが

 


明智大五郎探偵は 好きだった

 

 







 「 あっ!これは 小村警部

 


   あいさつもろくに しなくて

 


   すいません・・・」

 





 

 

 

「 わははは~ いいよ いいよ

 


  気に しなさんな 今日は

 


  大林君も 一緒じゃな 久しぶりじゃのぅ

 


  ちびっ子探偵君 」

 





 

 

 

「 こんにちは 小村警部ご無沙汰しています

 


  しかし ちびっ子探偵は 嫌だなぁ

 


  僕は もう 立派な 探偵ですょ・・・ 」

 

 




 

 

「 おう そうじゃった! そうじゃった!

 


  すまん すまん わははは~ 」

 





 

 

 

「 もう~ 小村警部ったら・・・ 」

 

 




 

 

 

大林少年が すねるように いじけてみせる

 


それが おかしくて

 


明智探偵も 小村警部に つられて わらう

 

 




 

 

 

「あははは いいじゃないか 大林君

 


 小村警部は 君を 認めているんだよ」

 

 




 

 

小村警部は ニヤリと 笑い 大林君を

 


見たが 大林君は さりげなく 視線を

 


はずして アジアの涙に 目を やった

 




 

 

 

「 ところで 明智君

 


  怪人百面相の 動きは どうだい? 」

 





 

 

「 それが 警部 さっき 時間通りに

 


  この 美術館の 屋上に 現れました



  ひょっとすると もう 美術館内部に

 


  潜り込んで いるかもしれません 」

 





 

 

 

「 うむ そうか 奴さん おいでになったか

 


  ところで 他の 場所は おさえて

 


  あるのかい? 」

 





 

 

 

「 はい 大林君率いる 少年探検団の

 


  メンバーが 美術館の いたるところで

 


  見張って くれてます 」

 





 

 

 

 

「 そうか 頼もしいな でも

 


  油断は 禁物だ・・・ 」

 





 

 

 

「 そうですね 私と 大林君も

 


  この部屋の 警備に つきます 」

 





 

 

 

「 それは ありがたい 頼んだよ

 


  二人とも 」

 




 

 

 

「 はい! 」

 




 

 

 

明智大五郎探偵と 大林君が 力のみなぎる

 


返事を 返す

 


小村警部が 微笑みを 浮かべる

 

 




 

 

「 そうそう 明智君 夜食のおやつの

 


  きな粉もち ありがとう

 


  さっき 部下の みんなと 交代で

 


  いただいたよ ごちそうさん 」

 





 

 

 

「よろこんで いただけて 良かったです」

 

 




 

 

 

ひと時 小村警部との 会話が

 


この 緊迫した 空気を 追い払って くれたが

 


怪人百面相が この 宝石を 奪いに くる

 


その事実は 質の悪い 悪夢のように

 


感じていた

 



 

明智探偵は また 一人 思いこむように

 


考えに ふける

 


大林少年は 宝石が 飾られている

 


ガラスケースを 見ながら ゆっくりと

 


まわる

 


小村警部は 他の警官達と なにやら

 


打ち合わせでも しているのか

 


難しい 顔を しながら メモを 見ている

 

 



今にも 爆発しそうな 緊張感が 部屋に

 


漂っていた

 


誰もが 黙り 沈黙が 部屋を 包んだ その時

 

 





 

 

部屋の 灯りが 消えた!

 

 





 

 

「 どうしたんだ!! 灯りを!灯りを!

 


  つけるんだ!! 」

 





 

 

 

「はっ!! ただいま!」

 





 

 

 

小村警部が 怒鳴る 部下が 慌ただしく

 


動く しばらくして 部屋の 灯りが つく

 

 

誰もが その 光景を 見て 驚いた!

 

 



 

 

 

ないのだ! 

 

 

 

 

 

 

ガラスケースの 中に

 


あった アジアの涙が なくなって いるのだ

 

 




 

 

 

「 いつのまに おのれ 怪人百面相め! 」

 





 

 

 

明智大五郎探偵は それでも 冷静に

 


かつ 機敏に 床 壁 天井を 調べる

 

 

何も 変わった ところなどない

 

 

明智探偵が 静かに ゆっくりと 話す

 

 




 

 

 

「 動かないで 下さい 警備の 警官の方は

 


  元の位置に 戻って ください 小村警部と

 


  大林君は ガラスケースの 横に

 


  来てください 」

 

 


 

 

 

 

みな 明智探偵に 言われる ままに

 


位置につく

 

 


みんなが 位置についたのを みはからい

 


扉の方へ 行き 外にいる 警官に

 


ドアごしに 問いかける

 





 

 

「 先ほど 停電に なった時

 


  この扉が あく気配は ありましたか? 」

 





 

 

 

「 はっ! ありませんでした ずっと

 


  扉に 寄り添うように 立って いましたので

 


  扉が 開いたという ことは ありません」

 





 

 

それを 聞いて 明智探偵は 部屋を 見渡した

 


そして 異変に 気がついた

 


警備の 警官の 人数が 増えているのだ

 


さっきまで 5人だったのが

 


6人に なっている

 


そう この中に 怪人百面相は

 

 

いるのだ!!

 

 





 

 

 

「どれが変装した 百面相なのだ・・・」

 

 





 

 

 

 

大林君が 不安な 瞳で こちらを 見ている

 


小村警部は 落ち着きない 表情で

 


まわりを 見ている

 

 


脂汗が 滲むような 緊張感が 部屋全体を

 


包む

 

 


明智探偵は 考える

 


一つの 変化も 見逃さない 強い 意思で

 

 


 

 

そして 明智大五郎探偵は 一つのことに

 


気がついた

 

 





 

 

 

「そうか・・・そう言う 事か・・・」

 

 



 

 

 

 

 

 

何かを 確信 したようだ

 

 




 

 

 

 

これを 読んでいる よい子の みなさんは

 


おわかりに なったでしょうか

 


明智大五郎探偵は 何を 確信したのでしょう

 


そして 本当にこの中に 

 


怪人百面相は いるのでしょうか

 


アジアの涙はどこに・・・ 

 

 

事件は 解決するのでしょうか

 


さぁ 続きを 見てみましょう

 

 

 

 

 

 

 

「 この中に 怪人百面相は います

 

 

  そして それが 誰なのか わかりました 」

 

 

 

 

 

 

明智大五郎探偵が 畳み込むように

 

 

話を 続ける

 

 


 

 

 

 

 

「 怪人百面相君 君は 一つ

 

 

 過ちを おかしたのだよ

 

 

 さぁ!! 観念するんだ 怪人百面相!!」

 

 

 

 

 

 

 

明智大五郎は そう言うと

 

 

一人の 人物を 指差し 丁寧に 言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 お前が 怪人百面相だよ 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      ~アジアの涙 怪人百面相の怪~

 

 

                二の巻

 

 

               つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.


 

 

 

 


  

 

 

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「 少年探検団 」 朝倉 ケンイチ @atomickenichi87

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