第5話鍛冶師(上)
第2次世界大戦終戦後、ポツダム宣言の受諾によって出された勅令300号「武器等製造禁止令」によって刀を作ることが法律で禁止されました。またGHQ(連合国軍総司令部)により「民間武器回収命令」において作刀だけではなく古い刀まで没収されるという事態になり、日本刀を武器とみなし一切排除する方向に向かった。
しかし、日本では日本刀を武器ではなく、『日本の美』とすることで、昭和二十八年「武器製造法」が制定施行され、作る事が許された。しかし、年間で25本しか作ることが出来ない。また、刀鍛冶(刀匠)になるには、文化庁主催の「刀剣刀匠技術試験」に 受からなければならない。試験は、実技試験で日本刀を1本作り出来を点数で表して、合格点を超えた者のみ『刀剣刀匠免許』を貰える。しかし、合格率は5%しかない。でも、受験者が年々減少している。
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正吾と、正吾の祖父の忠義は、肉を食べた後、いつものように鍛冶場に向かった。鍛冶の仕事は、基本的に日本刀を造っている。それ以外にも、包丁などの調理器具や、鍬や鎌などの農具も作っている。
しかし、技術改革でほとんどの作業が機械にかわり、包丁なども型抜きなどで生産されている。更にこんな田舎だと、ほとんど仕事はなく、年に数回、品評会に出品するていどだ。
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日本刀を造るには、まず『たたら製鉄』で砂鉄と炭を使い玉鋼を作る。その後
1水へし・選別
2積み沸かし
3折り返し鍛錬(皮鉄・心鉄等各種)
4造込み
5素延べ
6火造り
7荒仕上げ
8土置き
9焼き入れ
10鍛冶押し
11中心仕立て
12握り、鐔、鞘 を作る
などの12行程で造られている。(厳密に言うと同じ事を何度か繰り返しているので、する事はもう少し多い)
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「じぃちゃん、剣造ろう思よーるんじゃけど、いいかな?」
「急にどうしたんじゃ」
「いやぁー、日本中にダンジョンできたじゃん。多分じゃけど、いつかは一般人も入れるよーになると思うんよ。そしたら、刃物の需要がふえると思うんよ。でも素人は刀をよー使わんと思うんよ。そしたら剣の方が使い易いけー、剣の方が需要があると思うんよ」
「なるほどのー。確かにそうじゃが、正吾、剣を作れるのか?」
「いや、分からん」
「じゃーどーするんじゃ?」
「インターネットで造り方覚えて、造ろうと思っとる」
「まぁー、やってみぃー」
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