生も性も、語る口も持たない虫たちの叫び
- ★★★ Excellent!!!
冬を越えて。
春が望むものは。
夏の終わり。
来たる秋。
最後の言葉は、実りをもたらすことのない。
生も性も、語る口も持たない虫たちの叫び。
それは――
季節を幾つ巡っても、きっと耳の奥底にこびり付いて離れない夏の残響。
羽音のように耳障りな音、抜け殻のように乾いた日常、唇のようにひび割れた人間関係。
そこに差し込む青春の光、伸びる歪な影。
ああ。
渇望の果てに、辿り着いた真実でさえ、誰かを救うことは出来ないのか。