てのひらの複合体。

 リョウ、ヒロコ、アキラ。三人の男女は小学校の同級生で、その頃からそれぞれ身長にコンプレックスを持っていた。リョウはヒロコに追い付かない身長を。ヒロコは高すぎる身長を。アキラは誰よりも小さな身長を。そのコンプレックスは、大学生となって姿が変わっても肥大化する。

 コンプレックスを克服できない苦しみ。克服したにも関わらず生まれる新しい葛藤。人間というものの複雑さを描かれた物語であると感じました。人間の性格は一言で言い表せないほど難解ですし、二面性どころかいくつも顔をもっているものです。そういった人間をとても深く掘り下げ、描かれていると思います。

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