密室の『真実』と『嘘』

 学校の美術室で起こった酸鼻な事件。それについて証言する話者が代わるたびに、事件の様相は次々と引っくり返されていく。次はどうなる?と否が応でも気にならされます。
 事件が事件だけに、えげつない描写もありますが、それを一貫して冷然と著述していくスタイルに引き込まれます。変な遠慮も容赦も無いからこそ、学園サスペンスとして高いレベルに昇華されている。
 そして読み終わってからも、これは果たして――と、考えさせられるものがある。そんな余韻の残し方も良かったですね。

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