数千年の時を生きる一匹のアルラウネが、人間の子供を拾った。そんな些細な気まぐれから始まる物語。
タイトルやキャッチといいやたら分量あるあらすじといい、あからさまに読む前から色々仕掛けてきてるのが分かる。それでいて一度本編に入ってしまえさえすれば、グッと引き込まれることも間違いなく。読み終わってみれば、これほどの内容ならそりゃこういうタイトルにもなろうなと納得している。
少なくとも自分は、思わず涙を誘われる程度には心を揺り動かされました。丁寧で、世界観を小出しにしていく話運びも自然でテンポを壊さない。2万字未満とは思えない濃密さ。
最後まで読んで良かったと、心から思えるファンタジー短編でした。