チートスキルも女神の加護もいらない。彼には、空手があるのだから!

この物語はフィクションであり、作者の体験談ではない。
ということになっている。
カクヨムでの体裁上は。

いや、もうそんなの、もはやごまかし切れてないだろう。
と周囲は思っている。
さっさと吐くがよい。

人知を超えた力によって異世界へ転移させられた主人公。
彼の冒険の目的は、魔王討伐でもハーレム作りでもなく、
ひたすらに空手を信じ、強いやつと出会って戦うことだ。

戦いの舞台に立てば、いつだって最初は周り全部が敵だ。
アメリカでの武者修行における完全アウェーのリングより
苛酷な敵意にさらされながら、彼は己の空手の道を貫く。

こざかしい言葉ではなく、鍛え抜いた空手で相手と語り、
小手先の知恵ではなく、正しいと信じる道を行動で示す。
そんな彼に、異世界の者たちは何を感じ、何を思うのか。

「個性的な対戦相手が次々と現れて、空手家が迎え撃つ」
本当にそれだけのシンプルでストレートな展開なのだが、
小細工なしの骨太さゆえに、とにかく熱くておもしろい。

最大の問題は、どこからが脚色なのか、という点だろう。
本作が、作者の空手と異世界転移の経験に裏付けられた
非常にリアルな小説であることは疑う余地もないのだが。

個人的には、時に色っぽい絵を提供する女騎士エンディは
男性の友人を女体化させたキャラなのでは、と推測する。
エルフの柔術家の連絡先おしえてください。取材したい。

熱くて痛快な試合の数々は、理屈抜きで本当に楽しめる。
「異世界ものかよ、ケッ」と思う読者にこそオススメ。
少年ジャンプ系のバトル漫画がお好きなかたには是非!

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