概要
どこにも行かんといて。それはこっちの台詞やわ。
蔦子さんはひとしきり自分の袖の陰で笑うてから、まだ笑いの残る声で言うた。
「怜司もあんたが好きやと思う。そうやけど、あの子をあんたの気持ちに応えさせたらあかん」
「なんでや」
俺はちょっと語気荒かった。何があかんのや。あいつかて、そろそろ楽になってもええやん。死んだ男を何年待ちゃあええねん。貪欲やで、暁彦様とか言うやつも。てめえが死んだ後までも、あいつを支配しようというんは。強欲や。
「忘れたら、死んでしまうんどす、怜司は」
蔦子さんは着物の袖で口元を覆ったまま、すいっと俺の目を覗き込んできた。
--------------
※大阪編と神戸編の合間の時期を舞台にした番外編です。神戸編読了後にお読みください。
※分家の人たちのお話で、信太(虎)と怜司のシリアスめな内容です。笑うところがあんまり無い。
「怜司もあんたが好きやと思う。そうやけど、あの子をあんたの気持ちに応えさせたらあかん」
「なんでや」
俺はちょっと語気荒かった。何があかんのや。あいつかて、そろそろ楽になってもええやん。死んだ男を何年待ちゃあええねん。貪欲やで、暁彦様とか言うやつも。てめえが死んだ後までも、あいつを支配しようというんは。強欲や。
「忘れたら、死んでしまうんどす、怜司は」
蔦子さんは着物の袖で口元を覆ったまま、すいっと俺の目を覗き込んできた。
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※大阪編と神戸編の合間の時期を舞台にした番外編です。神戸編読了後にお読みください。
※分家の人たちのお話で、信太(虎)と怜司のシリアスめな内容です。笑うところがあんまり無い。
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