「想い」が世界を変えるだけの情動を基礎づけている

 誰かを救いたいという想いが世界を変えるだけの情動を基礎づけている。近未来SFというジャンルなのだと思いますが、人と人とのかかわりを丁寧に描いた本作品はSFをという枠組みを超えたヒューマンドラマといえるかもしれません。

 序盤からは想像もつかないほどのスケールで展開される物語構成は圧巻でした。個性的な登場人物が織りなす群像劇はストーリー全体に奥行きを持たせ、理論の一貫したSF設定、イメージしやすい世界観も相まって、物語を引き立てています。

 読みやすい文体かつ、読者の想像力を決して貧相なものにしない情景描写は物語に引き込まれる強い要素でした。SFを普段あまり読まない方にもおすすめです。

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