寮監は魔法使い
消灯時間後にベッドの中で本を読んでいたら、寮監に見つかった。眠れないのだと告げたぼくに振る舞われたのは、甘い香気をたちのぼらせるミルクティ。寮監はランタンにきらきらと光る小瓶をちらつかせ、片目をつむった。
「今からこれに安眠の魔法をかける」
「お酒かなにか?」
「きみのような子どもに必要なのは、種明かしではなく良質な睡眠だね」
気になって身を乗り出したけれど、大人の大きなてのひらは瓶の中身をたくみに隠し、魔法の正体はわからずじまい。でもてきめんによく効いた。ぼくは大人よりも賢いといってもまだまだ子どもらしい。
それは少しばかり癪な事実。うらはらに、もたらされた眠りが安寧そのものであったのはたしかだった。
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