300字SS集

まゆみ亜紀/八坂はるの

生きている光

 理科準備室の戸棚にしまっておいた星がなくなった。八光年もののマイナス一等星、とっておきだったのに! 悪ガキとカラスは光り物に弱い。どうせまたあいつだろうと中庭に出ると案の定、星を放して遊ぶ下手人を見つけた。こいつはいつも戸棚の鍵をこじ開けて、おれが注意深くしまい込んでいるものを持ち出す。

「またおまえの仕業か冴島」

「だってこのほうがきれいだよ」

 そんなのおれだってわかっている。それでも手に入れたいという気持ちを抑えられないのはおれが罪深く愚かだからか? いたずらっぽく笑う冴島の目は星の色をうつして青白くきらめいている。生きている光。これもガラスケースに閉じ込めたら意味をなくすのだろうけれど――

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