王子さまにはなれない
帰り道にペットショップがあって、前を通るときいつも、子犬や小鳥たちのまなこに、きみの面影がないか探している。夏休み明けに学校に来なかった。引っ越したって聞いた。だけどもしかしたら薄暗い店の奥に座っているおばあさんは悪い魔女で、きみは動物に変えられて助けを待ってるんじゃないか?
またねっていつもどおりに別れた。だからぼくは最後にきみがどんな顔をしていたか、もう覚えていない。犬の、鳥の、トカゲの、虫の目にあの日の正解を探しているけれど、答え合わせできないドリルを解き続けているみたいな気分だ。
キスをしたらきみは戻ってくる?
ぼくは今日もなにもできないまま、店の前を通り過ぎる。
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