作者さまの作品の特徴の一つに、人間ドラマの部分がどんなシチュエーションであってもしっかりと描かれている点があります。
本作品もその点は顕著に表れていて、リアリティの中にファンタジー的な展開が描かれるのですが、その反面的な世界の中で、雪が温かく感じるという人間ドラマを描かれたことは、驚きと同時に静かな感動に胸が震えます。
本作品のポイントは、まさに変化球です。序盤からラストまで気が抜けないほど、ラストの変化球に向けて仕掛けが施されてます。なので、ラストは時間を作って一気に読むのがベストだと思います。
じんわりとした温かさに包まれたい方には特にオススメです。内容は万人向けですので、安心して物語の世界に浸ってみてください!!
タイトルを読み返して、やっぱりいい作品だなと思いました。
自分が何かを願うと、誰かが必ず不幸になる。
そんな呪いのような過去の経験を抱えて幸せを願うことを諦めていた小百合。
ようやく手に入れかけた妥協とも言うべきささやかな幸せすらも逃してしまい、自暴自棄になってしまった彼女は記憶をなくすほど泥酔してしまいます。
けれどもそこで出会った声も面影も忘れてしまった彼が、小百合の人生を大きく変えるきっかけを作ってくれるのです。
作者様らしいあっと驚く出会いの真相に、ちょっぴりサイエンスな味付けをしたファンタジーが差し込まれているのも個性の光る展開です。
メールのやり取りで少女のように恋心を募らせていく小百合さんが、幸せになりたいとどんどん前向きになっていく姿に応援したい気持ちでいっぱいになりました。
物語の主人公、小百合は、なぜか幸せがうまく訪れない苦い経験ばかり続く女性。
そんな彼女を、再び幸福の絶頂から突き落とすような出来事が。自暴自棄になってしこたま酒を飲み、嘆き悲しむ彼女に、胸のときめくような新しい出会いが訪れます。
彼女の悲しみを掬い上げ、幸せを届けようとする彼。そして、酩酊状態だったためにその顔すら思い出せず、メールだけで彼と繋がる小百合。
今度こそ、自分に幸せが巡ってくる。彼と二人で幸せになりたい。そんな彼女の強い想いが招く結末とは——。
募る想いを実らせたいと願う、小百合の一途で真っ直ぐな想い。そして、それを叶えたいと力を尽くす彼の想いが、強く胸を打ちます。
小百合には、ありのままの笑顔で真っ直ぐに幸せに向かって歩いて欲しい。そう思わずにはいられません。
美しい雪の情景に、ひんやりと澄んだ空気を肌に感じる。そんな、儚さと温かさの同居する魅力的な物語です。
観月小百合、彼女は昔から薄幸だった。
運動会で一番になりたいと願えば、一番になった代わりに他の子が怪我をする。難関の高校に入学できたと思ったら、入学式の日に母が事故に遭う。
幸せがやって来たかと思えば、それを帳消しにするような不幸が必ず近くで起きる。世界は自分の事を祝福していない。ずっとそう思って生きてきた。
そして迎えた三十歳のバレンタインデー。その日小百合は、付き合っていた男にあっさり捨てられてしまう。
不幸です。同情せずにはいられません。
しかしヤケになって酒に溺れたバレンタインの次の日、小百合のスマホに「ウォンス」という見知らぬ人物からメールが届いた。調べてみると、酔っぱらった小百合を開放してくれた男性らしいのだけど……
その日からウォンスとのメールのやり取りが始まるわけです。ウォンスがどこの誰かは分からない。だけどメールで話しているうちに、だんだんと彼の優しさに惹かれていく。
彼氏にフラれたのがなんだ、私にはウォンスがいる。どこかで不幸な出来事が起きたって構うもんか、今度こそ幸せになるんだ!
まるで恋愛映画のヒロインになったような気持ちでメールを待ち、送られてくる優しい言葉に悶絶する。ウォンスがどんな人なのか想像してはドキドキせずにはいられない。恋する乙女全開の小百合が、それはそれは可愛らしくて(*´▽`*)
今まで幸せを願う事を放棄していた彼女ですが、この恋は上手くいって欲しい。幸せになってもらいたい。そう思わずにはいられませんでした。
小百合が恋するウォンスとはいったいいかなる人物なのか?メールで話すだけではなく、直に会う日は来るのか。もし会えたら、その時はどんな展開が待っているのか。
一話一話読む毎にドキドキが増していきました。
誰しも幸せになる権利はあります。このお話を読むときは、ぜひとも小百合の事を応援してあげて下さい。この子には本当に幸せになってもらいたいです。