4・男、人魚を嫁にする


「断る」


キッパリ言いやがった。


「何で!?」


「タイプじゃない」


おいおい、タイプじゃないとか…言ってる事が違うよ。


「じゃあ別の人魚さん紹介…」


「それも断る」


またもや即答。


「じゃあやっぱり君がお嫁さんに…」


「嫌」


一言かよ。


「さっき願い事叶えるって…」


「それとこれとは別」


あんまりじゃないか。


確かに俺はモテない、だけど収入はある。


条件は悪くないハズだ。


「他にないならアタシ帰るけど」


あぁぁあ!折角のチャンス、俺の嫁とのアハハウフフな幸せライフが逃げていく!


そうはさせるか。


「へぇ、帰れるの?」


「えっ?」


ティアが湖へ近付き飛び込もうとした瞬間、こう尋ねた。


ティアはポカンとしている。


「迷ったんだよね?」


「うっ…」


「あの伝説の人魚さんが約束事破るんだ?」


「………」


何も言えないティア。


「人魚としての誇りやプライドはないんだ?ふーん」


「グッ…!」


ふふふ、相手が悪かったな。


俺は頭の回転だけは早いんだ。


「……ったよ」


「ん?」


暫くしてティアが口を開いた。


「分かったよ!嫁にでも何にでもなれば良いんだろ!!」


よっしゃあああっ!!


嫁ゲット!


こうなりゃ人間だろうが人魚だろうがどっちでもいい、念願の嫁が手に入るんだ。


人としてどうかって?


そんなの知るか。


俺はティアを抱え上げて家へ連れて帰った。


こうして、俺と人魚の夫婦生活が始まるのだった。


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