エピローグ

 あれから半年がった。

 あの世界がどうなったのか、僕は知らない。


 気づくと、僕は自分の部屋で倒れていた。

 まるですべてが夢だったんじゃないかと思えたけれど、携帯に残った武田さんの電話番号が、あの思い出が夢でなかったことを教えてくれていた。


 幸いなことに、僕の学力は崖っぷちから強烈なV字回復をげ、見事第一志望の東京理工大に合格。

 今、東京での一人暮らしを開始すべく、新居となるアパートに荷物を運びこんでいるところだ。


「……どうも、お久しぶりです。秋山です。ええ、引っ越しは無事終わりました。明日にでも、ご挨拶に上がります……すみません、ちょっと来客みたいです。また電話します」

 武田さんとの電話中、新居のインターホンが鳴った。


「はい。秋山です」

「……どうも、隣の者ですが」


 低く抑えつけたような、不機嫌そうな女性の声がする。さっそく何か迷惑をかけたのだろうか?

 僕は玄関のドアを開ける。


「合格、おめでとうございま~す!!」


 僕は、自分の目を疑った。

「……エレナ……!? エレナ! どうしてここに!?」


「いやー、あのときホント完全に魔力を使い果たしちゃいましてぇ~。なんとかリョウをこっちの世界に送ったはいいんですが、半年も魔法が使えなくなっちゃって、まったく参っちゃいましたよ~」

 それは、まぎれもなくエレナだった。

 エレナが、笑っている。


「あれ? リョウ、どうしました? いやいやいや、ここで泣かないでくださいよ! アパートの住人さんたちに誤解されちゃいますよぉ! あっ、私も今日から隣の部屋に住むことになりましたんで、お隣さんですね。よろしくお願いしますねぇ~」


 聞きたいことは山ほどあった。

 でも、今は何も言葉が出てこない。

 ただ、今なら確信をもって言えることがある。


 僕はたしかにあのとき、世界を救ったんだ。


3分間異世界SAVING おわり

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異世界3分間SAVING~世界を救うための制限時間は3分です~ 既読 @kidoku1984

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