命賭け

 そして現在に至る、ってやつさ。

 俺が語れるのはここまでだ。


 " お前は我らの力が欲しいのか "


 お前達の本質が俺にはハッキリと見える。

 だから、それを持ち帰ってはいけないことも解る。


 " そして抜け道があることも見透しているのだな "


 まあ、な。

 一度は諦めかけたが、可能性が俺の目に映ったんだ。

 試さない手はないだろう?


 " 異界の者よ。それはこの世界とも異界とも繋がりを失くす行為 だと解っているのか "


 もちろんさ。

 ここが勝負どころだということもな。


 " ならば、くるがよい "


 俺は最後の力を振り絞り、光の源へと近づいて行く。

 一歩足を進めるごと、身体が粒子を撒き散らしながら崩壊を始める。


 " 我らはお前を受け入れよう "


 価値の先にある愛を教えてくれたマシン子。

 くだらない思想に凝り固まった俺を変えてくれた最愛の妻。


 彼女を救えるのなら、命をチップにするのも惜しくない。


 " 我らはお前の誕生を見守ろう "


 分の悪い賭けだが、じっくりやるさ。


 終わり良ければ、それは俺の勝ちなのだから。






 ~ ドラゴライト 了 ~







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 おしらせ


 おかげさまを持ちまして【第3回カクヨムWeb小説コンテスト SF・現代ファンタジー部門】で【特別賞】を受賞いたしました。


 みなさまの応援、感謝致します。

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ドラゴライト 悠木 柚 @mokimoki1

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