さいごは『おわり』ではなく、『完全なる成就』
- ★★★ Excellent!!!
第一章『私たちはどこから来たのか』を読み終えての感想になります。
こうしてレビューを書いている今も、いろんな思いが交錯しては花火のように爆発し、胸が詰まってうまく言葉が紡げません。
屋敷の下働きの少年アリムと、離れに住む謎めいた女性トゥミネが出会い、交流を深め、徐々に親密になっていくのですが、様々なものが彼らに重くのしかかり、行く手を阻みます。
匂い立つような華麗な筆致で語られるのは、残酷で悲しい物語。
しかし重々しい息苦しさ、心を切り裂かれるような痛ましさ、憤りすら覚えるやるせなさの中にあるからこそ、二人がゆるりと育んでいく、きめ細やかな愛情が際立ちます。
そして、さいごは…………是非あなたの目で、見届けて下さい。
二人の辿った軌跡を。
そして、二人が選び迎えた『さいご』を。
この胸に残る甘美な痛みを、皆様にも是非とも味わっていただきたいです!