第13話 新しい世界で
地元から大学へ戻って、休んだ分だけ慌ただしい日々に追われた。
それでもどこか、すっきりした気持ちだった。
自分の事を見つめ直して、これからの事を考えて、そうしていると時間はあっという間に過ぎて行った。部屋に飾ってある黒川の写真とボクの今の年齢がどんどん開いていくことも、気にしなくなった。どんな姿で現れても、ボクはきっと彼女に気付くから。
「お前って、すごい一途なのな」
部屋に遊びにきた友人が、黒川の写真をみて言った。彼には地元から帰ってすぐ、黒川の事を話していた。
「そうだよ、悪い?」
「いや、お前らしい」
まっすぐでさわやかな性格をした友人はそう言いきった。
「だろ。他の人じゃダメなんだよ」
ビールを渡し、飲みながら、彼女も同い年なのだから酒が飲めるんだなーなんて考えていた。きっと楽しい。
「はやく見つかるといいなー」
「うん、一緒にビール飲みたい」
「悪かったなー俺で」
「うーん、そう意味ではない」
「わかってるよ」
笑いながら、こんな風に誰かと話せる日がきたことを少し驚きながら、受け止めることが出来た。
どこかできっと、また会える。
そう信じて、ボクはこれからも彼女と生きる。
ずっと、一緒に。
ドクハク 瀬名 @voice_0
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