もみじが色づく、その前に


 高速のサービスエリアで事故に遭った市川真音は、見知らぬ部屋で目を覚ます。
 そこで和装にバンダナ巻きという、とぼけた格好をした女性呉葉と出逢うのであった。

 非常に丁寧に描かれた和風ファンタジーです。
 リップ・ヴァン・ウィンクルや、邯鄲の夢枕を思わせるストーリー展開は、時にミステリアスに、また時にコメディタッチで描かれており、読者を飽きさせない。
 呉葉の正体は終始謎のままだが、ヒントは本文中に散りばめられています。
 読者の想像力が、真のエンディングに導いてくれるのではないだろうか。

その他のおすすめレビュー

富山 大さんの他のおすすめレビュー244