本作を読んで、守破離という言葉をなんとなく思い浮かべた

 事故にあった市川真音は、迷い家的な不思議な異世界に迷い込み、そこで呉葉と名乗る
不思議な女性と邂逅する。
 その出会いのなかで、二人は互いのことを知り、そして自らを省みる。

 とにかく、謎の女性、呉葉さんがとても可愛らしく魅力的。
 これは作られた可愛らしさではなく、おそらくは作者さまの人柄が行間から滲みだした結果であろうと勝手に推察させていただく。
 なんとなれば、本作で描かれる異世界の、ちょっとした小道具や登場人物たちの言葉、そこにある事物に対する物の見方、それらを描写する文章など、すべてに、なんとも優しく繊細な女性らしい気遣いが感じられるからだ。
 小手先の文章テクニックでは、なかなかこういう世界は現出させることはできない。本物の女子力とはどういうものか、まざまざと見せつけられた感じである。
 カクヨムにはこういう書き手もいるのかと、感心させられた。

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