少年と少女と『花』を乗せ、ジープは二つの世界を駆ける

荒んだ世界で生きる運び屋の少年と、『異世界』の神秘的な少女が出会う。文字通り『価値観も住む世界も違う』二人が運命を共にする王道のボーイ・ミーツ・ガール、そして冒険活劇ですね。

砂塵と硝煙の匂いがしそうな荒廃世界に旅は始まり、そこに花を信仰する世界のファンタジックな情景が交錯する様は、とてもワクワクさせられます。異世界の騎兵隊が立ち塞がる、泥臭く無骨なジープの旅を描きながら、美しい花を巡る優しい物語の一面もあり、緩急織り交ぜて飽きさせません。

とにかく読んでいて気持ちが良い物語なんですね。描写に雑味が無くてすらすら読めるリーダビリティ。秀逸な短編のお手本みたいなお話だと思います。

この物語において、何故これほどまで『花』が重要な意味を持つのか。漢らしい少年と健気な少女の冒険を追い、ぜひ多くの人にそれを見届けてほしいですね。

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