巨大なる方程式の果てに

「方程式モノ」アンソロジー企画ということで投稿された作品ではありますが、これはその「方程式モノ」そのものへの鮮やかな挑戦。


そもそも「方程式モノ」は、シンプルであるが故に冷酷であるというのがそのキモ。

核となる構造がこの「冷たい方程式」に則っており、それを担うのがAIの「パル」の役割。彼(?)は様々な項や変数を計算し、最適で冷徹な解を導き出す。

しかし、それは様々な不確定要素に晒され、そのたび方程式は組みなおされることとなります。その果てに導き出された解答とは――




読み応えのある本格SF。

項を無限に増やしていくことができれば、人間の社会も方程式であらわせるのだろうか――最終的に示された「解」ではなく「式」そのものに、そんな感想を抱きました。

ぜひ一読ください。